スペースの確保と設置場所の条件
パレタイザーを導入する場合、設置場所の確保は不可欠です。新築の工場や物流センターに設置する場合はあらかじめスペースを取っておくことはできますが、既存施設に入れる場合はさまざまな条件が伴ってきます。ここではパレタイザーのタイプ別にスペース確保のポイントを見ていきます。
ガントリー型、直交型の設置場所・スペース
ガントリー型や直交型の場合、小さなスペースでも導入が可能です。扱う製品にもよりますが、既存施設でスペースが余裕がないような場合は導入を検討してもよいでしょう。
PSSの極省スペースパレタイザーは、接地面サイズは標準機で幅1.58m、奥行1.42m(0.68坪相当)、高さは2.33mです。パレットの大き作業さにプラスして作業者一人が動けるスペースがあればほぼ設置可能です。
ユーシン精機のPAシリーズも広いスペースが必要な多関節ロボットや、アクセスが1方向のみのガントリー型ロボットに比べ、省スペースでかつフリーアクセス、自由なレイアウトが可能です。積載最大荷重が20kgの機種だと必要最小スペースが3.1m×2.7m×3.3m(7mまで延長可能)です。
周辺設備・機器の可動域を考慮する必要も
このように装置自体のサイズは小さいガントリー型・直交型ですが、両方のタイプとも直線的な動きしかしないため、設置サイズが可動域となります。ただ、周囲に安全策を設置しなければならない場合がありますし、台車やフォークリフトの可動域も想定し、ある程度の余裕は見ておく必要があるでしょう。
多関節ロボットの設置場所・スペース
多関節ロボットの場合は、アームが動く分、広い可動域が必要になります。
ファナックのFANUC Robot M-410iCの場合、可動域は最小の機種で上下2403mm、前後2238mm。また、オークラ輸送機のロボットパレタイザーAシリーズ高速の高速・高可搬タイプは旋回360°で、可動域は上下2300mm、前後1518mm。川崎重工業のパレタイズロボットRDシリーズは最大リーチが3255mmとなっています。
多関節ロボットの場合、庫内作業員の接触事故を防ぐ安全柵は設置したほうが良いですし、その設置スペースの確保も不可欠です。もちろん、台車やフォークリフトの可動域を想定しておく必要もあります。
導入時の設置スペース判断基準
機能や価格を比較検討したうえで導入したいと思えるパレタイザーを見つけられたとして、設置スペースを判断する際には単にパレタイザー本体のサイズと設置場所の面積を比較するだけでは不十分です。
パレタイザーを導入しても実際に使用する際は可動域に合わせた安全柵を設置したり、従業員やフォークリフトが通る場所を確保したりと、スペースに余裕が必要です。またパレタイザーを設置する際の搬入経路に関しても考えなければなりません。
極省スペースパレタイザーの活用で狭い工場でも設置可能に
限られた敷地面積に工場を建てていたり、工場内のスペースが限られたりしている場合、各メーカーから発売されている省スペース性能を追求した「極省スペースパレタイザー」を選択することも一つの手です。
極省スペースパレタイザーはそもそも狭い空間への設置が前提になっており、制限された環境でも利用できる可能性があります。
パレタイザーを設置する環境の条件
パレタイザーの設置条件としては設置スペース以外に幾つかの条件があります。床面が水平であることはもちろんですが、パレタイザーの重さに耐える強度があるかどうかも確認しておく必要があります。また、最近は地震が頻発していますので、いざという時の対策も立てておくとよいでしょう。
そのほかに、中央労働災害防止協会から次のような通達が出されているので参考にしてください。
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中央労働災害防止協会「産業用ロボットの仕様等の安全基準に関する技術上の指針」(引用)
事業者は、産業用ロボットの設置に当たっては、次の事項について留意すること。
配置等
(1) 産業用ロボットに係る作業を安全に行うために必要な作業空間が確保できるように配置すること。
(2) 固定型操作盤は、可動範囲外であって、かつ、操作者が産業用ロボットの作動を見渡せる位置に
設置すること。
(3) 圧力計、油圧計その他の計器は、見やすい箇所に設けること。
(4) 電気配線及び油・空圧配管は、マニプレータ、工具等による損傷を受けるおそれのないようにす
ること。
(5) 非常の際に非常停止装置を有効に作動させることができるようにするため、非常停止装置用のス
イッチを操作盤以外の箇所に必要に応じて設けること。
(6) 産業用ロボットが非常停止装置及び機能の作動により運転を停止したことを示すことができるランプ等を、見やすい位置に設けること。
ストッパー
ストッパーを設ける場合は、次の事項に適合するものとすること。
(1) 機械的ストッパーは、十分な強度を有すること。
(2) 電気的ストッパーの作動回路は、産業用ロボットのプログラムによる制御回路とは独立したもの
であること。
作動の確認
産業用ロボットを設置した場合は、当該産業用ロボットの作動、関連機器との連動状況及びストッ パーの機能について異常がないことを確認すること。
引用元(抜粋):中央労働災害防止協会 安全衛生情報センターの「産業用ロボットの仕様等の安全基準に関する技術上の指針」
(https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-7/hor1-7-13-1-0.htm)
生産性を向上させたい場所から選ぶ!
おすすめパレタイザー3選
生産現場や物流センターで自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、導入において、どの工程でどの程度の生産性向上が期待できるかを具体的に確認することが重要です。そこで、生産性向上の観点でおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。
機器1つで最大5人分の労働力(※)
荷積みの生産性を安定させる
パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50
(メーカー:ユーシン精機)
特徴
- 最大1時間500個の運搬力。四方向すべてにパレット搬送路が設置が可能で、生産効率の良い配置を実現。
- 誰にでも操作しやすい機能性の高いコントローラ。位置補正機能もあり、ワンタッチでパターン変更も可能
少種・大量生産のライン
コンベア全体の生産性向上
フジエース
袋用
(メーカー:不二技研工業)
特徴
- 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー。
- 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)
過酷な環境でも耐えうる
防塵・防滴の安定した稼働
MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節
(メーカー:安川電機)
特徴
- 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
- 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。