パレットパターンと積み方
パレットパターンとは
パレットパターンとは、パレットに荷物を積むときの並べ方のことです。パレットパターンにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴やメリットがあります。適切なパレットパターンを選択することにより、荷物を安定して積むことができ、積載効率の向上が見込めます。
物流業界ではさまざまな形の荷物を扱うケースが多く、積み方に工夫が必要です。複数のパレットパターンを把握していれば、荷物の種類や状況に応じたパターンを組み合わせることで、荷崩れを起こしにくいパレタイズが可能となります。
荷崩れの原因・棒積みとオーバーハングの対策
荷崩れを起こす原因は、大きく分けて「横の力」と「縦の力」の2つです。横の力とは横揺れのことで、フォークリフトでの移動やトラックでの運搬の際には強い横向きの力が必ず発生します。次に注意しなければいけないのが縦の力=重力です。
縦の力によって一番下に積まれている段ボールが潰れてしまっては、どんなに横の力に強い積み方をしたとしても全体のバランスが崩れてしまいかねません。荷崩れを防止するための対策として、棒積みとオーバーハングに注意しましょう。
棒積みとは同じサイズの荷物を同じ向きに重ねる積み方で、横からの力に弱く、少しの衝撃で簡単に荷崩れを起こしてしまいます。オーバーハングは、荷物の角の部分がパレットや下の荷物からはみ出している状態のこと。オーバーハングの状態だとはみ出している部分が重力や上の荷物からの圧力で潰れやすく、そこから全体のバランスに影響して荷崩れにつながります。
特にパレットの外側に向かってオーバーハングしている状態は、荷物の重心が外側にずれて崩れやすくなるので注意が必要です。荷崩れを回避するには、棒積み・オーバーハングにならないようにパレットパターンを活用することが重要になってきます。
パレットパターンの種類
ブロック積み
ブロック積みとはブロックのように荷物を並べて積み上げる方法で、平積みとも呼ばれています。積み方がシンプルなので積載効率が向上し、荷物をまとめて取り出せるのがポイントです。一方で棒積みでもあるため、横からの力に弱く、フォークリフトやトラックで運搬する際に荷崩れを起こす可能性があります。
ブロック積みで荷崩れを防ぐには、ストレッチフィルムやラッシングベルトで固定するといった対策が必要です。
交互列積み
ブロック積みを応用したパレットパターンで、一段ごとに向きを90度変えて積み上げていくのが特徴です。インターロック積みとも呼ばれます。ブロック積みの弱点でもある横向きの力にも比較的強く、荷崩れしにくいのがメリット。ただ、互い違いにしたときに縦・横の長さが合わない荷物には使えず、1段に並べたときに全体の形が正方形になるような、一定のサイズの荷物にしか適用できないというデメリットもあります。
ピンホール積み(風車形積み付け)
ピンホール積み(風車形積み付け)は長方形の段ボールを積むときに使用されるパレットパターンで、風車の形のように縦横に組み合わせて積むのが特徴です。中央に空気の通り道があるため、温度管理が必要な冷凍・冷蔵貨物の積み付けにもよく使われます。
横向きの力にも強いというメリットがある一方で、中央に隙間ができることで積載効率が下がってしまうのが難点です。
ダブルピンホール積み
ダブルピンホール積みはピンホール積みを応用したパレットパターンで、1つの段に隙間が2つできるのが特徴です。ピンホール積みに比べて積載効率が高く、荷物とパレットの大きさによっては他の積み方よりも荷物を多く積めるようになっています。
ただし、積み方が複雑なため、手作業で行うと作業効率がかなり悪くなってしまうのがデメリット。多少の手間をかけてでもパレットの積載効率を上げたい場合に適しています。
レンガ積み
レンガ積みは、1つの段ごとに荷物の縦と横の向きを変えて積む方法です。棒積みにならないよう、段を重ねるごとに向きを180度変えて積み上げていきます。多少の振動では荷崩れしないことから、荷崩れを防ぐのに効果的なパレットパターンです。また、外側から荷物の側面を確認できるので検品がしやすく、倉庫へ納品する際の基本的な積み方でもあります。
スプリット積み
スプリット積みは、形状の異なる荷物をレンガ積みの要領で積み上げていく方法です。
横向きの荷物を積み付ける際に隙間(スプリット)をあけ、各段の方向を180度変えながら積むことによって安定性を保つのが特徴。パレットの外側に隙間をつくってしまうと支えがなくなってオーバーハングの状態になるため、パレットの内側に隙間をつくるのが荷崩れを防ぐコツです。
スプリット積みは主に段ボールの縦横の長さが異なる場合や、パレットの形状が限られたりする場合に活用されます。
窓積み
窓積みはレンガ積みを応用したパレットパターンで、横向きの部分を2列に増やすのが特徴です。カゴ車や正方形ではないパレットに積み付ける場合などに用いられます。荷物の側面が外側から見えるので、レンガ積みと同様に検品しやすいのがメリットです。
パレタイズ作業における荷物の積み方
何回し・何段切りとは
物流現場ではブロック積みやレンガ積みなどのパレットパターンのほかに、「〇回し〇段切りで」といった積み方の指示がされます。〇には数字が入り、〇回しは1段に置く荷物の数、〇段切りは同じ向きで積む段数を示すものです。
たとえば4回し2段切りの場合、1段に置く荷物の数は4個で、同じ向きで2段重ねた後に向きを変えるという指示になります。〇回しと表現するのは、段数が変わるごとに積み方のパターンが回転しているように見えるため。向きを変える理由は、同じ向きで積んでいくと不安定になり、荷崩れの原因になるからです。
種類が異なる荷物を積むときのポイント
重いものを下に積む/重い荷物を最上部に積む
柔らかいものを下の方に置き、上から重いものを積んでしまうと、下の荷物が潰れて荷崩れの原因になります。そのため、サイズや形状がバラバラの荷物を混載する場合は、重いものや硬いものを下にして積んでいくのが基本です。
ただ、上に載る荷物が軽すぎると、強風や横揺れで落下する可能性があります。そんなときは、軽い箱が潰れない程度の重さの荷物を最上部に積むのが良いでしょう。最上部の荷物が重しとなり、軽い荷物が落下するのを防いでくれます。
ラップ巻きをする
サイズや形状が異なる荷物を積む際は、運搬時の振動・揺れによる荷崩れを防ぐために、最後にラップ巻きをするのが基本です。ラップには、粘着性・伸縮性のある梱包材が使用されます。ただ、ラップの内部で荷崩れが起きると意味がないため、重いものを下に積む、もしくは重い荷物を最上部に積むといった積み方の工夫が必要です。
パレタイザーによる積み付けで負担を減らす
荷物に応じたパレットパターンを選択することは、荷崩れを防ぐのに効果的です。ただ、パレットパターンによっては積み方が複雑で、手作業だと積載効率が悪くなってしまうことも。また、人力で荷物を積んでいく作業は、肉体的にも負担が大きいというデメリットもあります。
人手不足が課題となっている物流業界において、現場の負担を軽減するために導入を検討したいのがパレタイザーです。パレタイザーには積み付けがあらかじめプログラムされており、さらに製品によってはSIerが現場に合わせてパレットパターンを設定することも可能。常に現場に適した積み付けを選択でき、パレタイジング作業の負担軽減に貢献してくれます。
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生産現場や物流センターで自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、導入において、どの工程でどの程度の生産性向上が期待できるかを具体的に確認することが重要です。そこで、生産性向上の観点でおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。
機器1つで最大5人分の労働力(※)
荷積みの生産性を安定させる
パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50
(メーカー:ユーシン精機)
特徴
- 最大1時間500個の運搬力。四方向すべてにパレット搬送路が設置が可能で、生産効率の良い配置を実現。
- 誰にでも操作しやすい機能性の高いコントローラ。位置補正機能もあり、ワンタッチでパターン変更も可能
少種・大量生産のライン
コンベア全体の生産性向上
フジエース
袋用
(メーカー:不二技研工業)
特徴
- 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー。
- 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)
過酷な環境でも耐えうる
防塵・防滴の安定した稼働
MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節
(メーカー:安川電機)
特徴
- 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
- 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。