パレタイジングロボットとは

パレタイジングロボットは、製造業の工場や物流倉庫などで、段ボール箱や袋詰めされた製品といった物品を、コンベアなどから自動でパレット上に積み付ける(パレタイズする)作業を専門に行う産業用ロボットです。これまで多くの現場で人手に頼ってきた重量物の積み付け作業を自動化することで、生産性の向上作業員の負担軽減、そして人手不足の解消といった経営課題を解決する切り札として注目されています。

本記事では、パレタイジングロボットの基本的な仕組みから種類、導入のメリット、そして選定のポイントまでを網羅的に解説します。

パレタイジングロボット導入のメリット

不二越_ショールーム
引用元HP:不二越
https://www.talent-book.jp/nachi-fujikoshi

パレタイジングロボットを導入することで、企業は多くのメリットを享受できます。

  • 生産性の向上と24時間稼働
    ロボットは人間のように疲労することなく、プログラムされた通りに一定の速度で作業を続けます。これにより、生産ライン全体の処理能力が向上し、24時間稼働も可能になります。
  • 労働環境の改善と安全確保
    数十キロにも及ぶ重量物の積み下ろしは、作業員にとって腰痛などの原因となる過酷な重労働です。危険で負担の大きい作業をロボットに任せることで、従業員はより安全で付加価値の高い業務に集中でき、労働環境が大幅に改善します。
  • 品質の安定化
    ロボットは設定されたパターン通りに正確に積み付けを行うため、荷崩れのリスクが低減し、搬送品質が安定します。人的ミスによる製品の破損なども防ぎます。
  • 人件費の削減と人材の有効活用
    単純作業を自動化することで、その分の人件費を削減できます。また、これまで積み付け作業に従事していた人材を、検品や設備メンテナンスといった、より高度な判断が求められる業務へ再配置することが可能になります。

パレタイジングロボットの仕組みと構成要素

パレタイジングロボットは、主に以下の要素で構成され、連携して一連の積み付け作業を自動で行います。

  • 1. 荷物の検知・認識
    コンベアで流れてくる荷物の位置、形状、向きなどをセンサー3Dビジョンシステム(カメラ)で正確に検知します。これにより、様々なサイズの箱が混在していても柔軟に対応できます。
  • 2. 荷物の把持(ピッキング)
    ロボットアームの先端にあるハンド(エンドエフェクタ)で荷物を掴みます。ハンドには、荷物を吸着する「真空パッド式」や、側面から挟み込む「グリッパー式」などがあり、荷物の特性に合わせて最適なものが選ばれます。
  • 3. パレットへの配置(積み付け)
    事前にプログラムされた積み付けパターンに基づき、ロボットアームが荷物をパレット上の最適な位置へ高速かつ正確に搬送し、配置します。制御アルゴリズムが荷物の重量や形状を考慮し、荷崩れしない安定した積み方を計算します。
  • 4. 安全機能
    人と協働する場面も想定されるため、エリアセンサーやライトカーテンといった安全装置が設置されます。作業エリア内に人が侵入するとロボットの動作が減速・停止し、作業員の安全を確保します。
  • 5. 自己補正機能(オプション)
    高度な機種では、荷物の位置がわずかにズレていても、ビジョンシステムがその誤差を認識し、掴む位置を自動で補正する機能も搭載されています。

パレタイジングロボットの種類と特徴

パレタイジングロボットには、その構造や得意な作業によっていくつかの種類があります。代表的なタイプを知り、自社の用途に最適なものを選びましょう。

  • 多関節ロボット(ロボットアーム式)
    人間の腕のような多関節構造を持つ、最も一般的なタイプです。複雑な動きが可能で柔軟性が高く、様々な荷物や積み付けパターンに1台で対応できます。省スペース性に優れているのも特徴です。
  • 直交ロボット(ポータル式/ガントリー式)
    門型のフレームに沿って直線的に動くタイプです。構造がシンプルなため、重量物や大型製品のハンドリングに適しており、広い範囲での作業が可能です。
  • スカラロボット
    水平方向にアームが旋回するロボットで、高速なピッキング作業を得意とします。比較的小型の荷物を扱う工程で採用されることが多いです。

また、積み付け方法によっても以下のように分類されることがあります。

  • ケースパレタイザー
    荷物を1つずつ(ケース単位で)掴んで積み付けていく方式。多品種の荷物を扱うのに適しており、主に多関節ロボットが用いられます。
  • レイヤーパレタイザー
    荷物を1段分(レイヤー単位)整列させてから、まとめてパレットに移動させる方式。同一品種を大量かつ高速に処理するのに適しています。

パレタイジングロボットの価格・費用相場

パレタイジングロボットの導入費用は、ロボット本体の価格だけでなく、ハンドや周辺機器、システム設計・構築費用(SIer費用)などを合わせた総額で考える必要があり、一般的に数百万円から数千万円となります。 主な費用の内訳は以下の通りです。

  • ロボット本体価格:可搬重量やリーチ長などのスペックにより変動します。
  • 周辺機器:ロボットハンド、コンベア、安全柵、ビジョンシステムなど。
  • システムインテグレーション費用:現場に合わせた設計、ティーチング(プログラミング)、設置工事、安全対策など。

導入コストは安くありませんが、人件費削減効果や生産性向上による利益を考慮した投資対効果(ROI)を算出し、補助金などを活用することで、導入のハードルを下げることが可能です。

パレタイジングロボットが活用される業界

パレタイジングロボットは、その汎用性の高さから幅広い業界で導入が進んでいます。

  • 物流・倉庫業
    EC市場の拡大に伴う荷役作業の自動化に不可欠。入出荷工程の効率を飛躍的に向上させます。
  • 食品・飲料業界
    段ボールやペットボトルケース、米袋など、定型的な重量物の積み付け作業に広く活用されています。
  • 化学・薬品業界
    化学薬品の入った一斗缶やドラム缶、医薬品の箱など、正確で丁寧な取り扱いが求められる製品の搬送に適しています。
  • 製紙業界
    印刷物や段ボールシートなど、重くかさばる製品の積み付けに活躍します。
  • 重工業
    建材や自動車部品など、人力では困難な重量物のパレタイズ作業を安全に自動化します。

生産性を向上させたい場所から選ぶ!
おすすめパレタイザー3選

生産現場や物流センターで自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、導入において、どの工程でどの程度の生産性向上が期待できるかを具体的に確認することが重要です。そこで、生産性向上の観点でおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。

機器1つで最大5人分の労働力(※)
荷積みの生産性を安定させる

パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50

(メーカー:YUSHIN(旧:ユーシン精機))

YUSHIN(旧:ユーシン精機)
引用元HP:YUSHIN(旧:ユーシン精機)公式サイト
(https://www.yushin.com/ja/products/detail/pa.html)

特徴

  • 最大1時間500個の運搬力。四方向すべてにパレット搬送路が設置が可能で、生産効率の良い配置を実現。
  • 誰にでも操作しやすい機能性の高いコントローラ。位置補正機能もあり、ワンタッチでパターン変更も可能
※...人によるパレタイズの生産性を1時間に約100〜150個と仮定として算出。

少種・大量生産のライン
コンベア全体の生産性向上

フジエース
袋用

(メーカー:不二技研工業)

不二技研工業
引用元:不二技研工業
(https://fujigiken.racms.jp/paretaiza/)

特徴

  • 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー
  • 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)

過酷な環境でも耐えうる
防塵・防滴の安定した稼働

MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節

(メーカー:安川電機)

安川電機
引用元:安川電機
(https://www.e-mechatronics.com/product/robot/palletizing/lineup/hc30pl/spec.html)

特徴

  • 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
  • 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。

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