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パレタイザーの安全対策をするべき理由とは?法令・規格と事故防止の基本

パレタイザーは、箱・袋・ケースなどをパレットへ自動で積み付ける設備です。省人化や荷役負担の軽減に役立つ一方で、ロボットアーム、コンベヤ、昇降装置、ローラー、パレット搬送部などに作業者が接近するため、安全対策が不十分なまま運用すると、挟まれ・巻き込まれ・衝突・落下物による事故につながるおそれがあります。

特に、パレタイザーは「ロボット単体」ではなく、ハンド、コンベヤ、センサー、安全柵、制御盤、パレット搬送設備などを組み合わせたロボットシステムとして導入されることが多い設備です。そのため、機器単体の仕様だけでなく、設置レイアウト、作業者の動線、メンテナンス時の立ち入り、非常停止、再起動手順まで含めて安全を確認する必要があります。

この記事では、パレタイザー導入時に確認したい法令・規格、安全対策の考え方、点検・ロックアウト/タグアウト、事故防止のポイントを解説します。

安全対策をするべき理由

パレタイザーをはじめとした産業用ロボットは、人の力では扱いにくい重量物を高速かつ連続的に搬送できます。一方で、可動部に人が接近した状態で設備が動作すると、身体の挟まれ、巻き込まれ、ロボットや搬送物との衝突など、重篤な労働災害につながる可能性があります。

パレタイザーで特に注意したいのは、通常運転中だけではありません。吸着ミスや荷崩れの復旧、空パレットの補充、パレット交換、品種切り替え、清掃、点検、グリッパーや吸着パッドの交換など、非定常作業のときに作業者が可動範囲へ入る場面が発生します。こうした場面では、設備を止めたつもりでも残留エネルギーや誤操作によって再起動するリスクがあるため、作業手順と安全確認を明確にしておくことが重要です。

安全対策は、事故を防ぐためだけでなく、稼働停止や復旧対応の長期化を避け、安定した生産・物流体制を維持するためにも欠かせません。

パレタイザー導入時に確認したい法令・規格

パレタイザーの安全対策では、国内法令と国際規格の両方を確認します。法令は事業者が守るべき最低限のルール、規格は安全な設計・統合・運用を検討するための実務上の指針として活用します。

労働安全衛生規則

産業用ロボットの使用では、労働安全衛生規則に基づき、教示等、運転中の危険防止、検査等、点検などに関する措置を確認する必要があります。

たとえば、可動範囲内で教示等の作業を行う場合は、作業規程の作成、異常時に直ちに停止できる措置、作業中であることの表示などが求められます。また、運転中にロボットへ接触することで危険が生じるおそれがある場合は、柵・囲いの設置など、危険を防止するために必要な措置を講じる必要があります。

「協働ロボットだから安全柵が不要」と単純に判断するのではなく、ロボットの仕様、エンドエフェクタ、搬送物、作業速度、作業者との距離、停止性能、設置環境を含めてリスクアセスメントを行うことが重要です。

ISO 10218-1:2025 / ISO 10218-2:2025

産業用ロボットの安全規格としては、ISO 10218シリーズがあります。2025年版では、ISO 10218-1:2025が産業用ロボット本体の安全要求事項、ISO 10218-2:2025がロボットアプリケーションやロボットセルへの統合に関する安全要求事項を扱います。

パレタイザー導入では、ロボット本体だけでなく、ハンド、ワーク、コンベヤ、パレット供給装置、安全柵、ライトカーテン、エリアセンサー、非常停止、制御システムを含めた「ロボットシステム全体」の安全性を確認する必要があります。そのため、機器選定時はISO 10218-1の観点だけでなく、システムインテグレーションを扱うISO 10218-2の観点も重要です。

協働用途についても、ISO/TS 15066は協働ロボットアプリケーションの参考情報として扱われてきましたが、2025年版のISO 10218シリーズでは協働アプリケーションに関する要求事項も整理されています。導入時は、メーカーやSIerに「どの規格を前提に安全設計・妥当性確認を行っているか」を確認しましょう。

ISO 45001

ISO 45001は、労働安全衛生マネジメントシステムに関する国際規格です。パレタイザーのような自動化設備を導入する際は、設備単体の安全機能だけでなく、作業者教育、ヒヤリハットの共有、点検記録、改善活動など、組織として安全を継続的に管理する仕組みも重要になります。

安全対策の基本ポイント

1. 可動範囲と作業者動線を分ける

パレタイザーの可動範囲、パレット搬送ライン、コンベヤ、製品供給口、空パレット置き場、作業者の通路を整理し、人が危険区域に入らなくても通常作業を行えるレイアウトにします。

危険区域への立ち入りを制限する方法には、安全柵、インターロック付き扉、ライトカーテン、エリアセンサー、マットスイッチなどがあります。どの安全機器を使うかは、搬送物の大きさ、作業頻度、作業者の接近方向、停止距離などを踏まえて決めます。

2. 非定常作業の手順を決める

事故は、通常運転中よりも、復旧・清掃・点検・段取り替えなどの非定常作業で起こりやすくなります。吸着ミス、荷崩れ、パレット詰まり、コンベヤ停止、ハンド交換、センサー清掃など、現場で起こりやすい作業を洗い出し、作業前停止、残留エネルギーの確認、再起動前確認、合図方法を明文化しておきましょう。

3. 非常停止と保護停止を確認する

非常停止ボタン、保護停止、インターロック、ライトカーテンなどは、設置して終わりではありません。停止後にどの範囲が止まるのか、停止距離は十分か、復旧時に意図せず再起動しないか、作業者が押しやすい位置に非常停止があるかを確認します。

4. 協働ロボットでもリスクアセスメントを行う

協働ロボットを使う場合でも、安全対策が不要になるわけではありません。ロボット本体が協働用途に対応していても、パレタイザーでは重量物、吸着ハンド、鋭利な箱角、落下物、パレット、コンベヤなどが危険源になります。

人とロボットが同じ空間で作業する場合は、速度、力、停止距離、接触時の影響、ワーク落下、作業者の姿勢や接近方向まで含めて評価し、必要に応じて安全速度監視、距離監視、エリアセンサー、保護柵などを組み合わせます。

リスクアセスメントの進め方

パレタイザー導入時のリスクアセスメントでは、次の流れで危険源を確認します。

  • 設備の使用条件を決める
  • 危険源を洗い出す
  • リスクを見積もる
  • リスク低減策を決める
  • 安全対策が機能するか確認する
  • 残ったリスクを作業手順・教育・表示で管理する

パレタイザーで確認したい危険源には、ロボットアームとの接触、ハンドや吸着部への巻き込まれ、搬送物の落下、パレットの倒れ、コンベヤローラーへの巻き込まれ、昇降部への挟まれ、空圧・油圧・電気などのエネルギー、清掃・点検時の誤起動などがあります。

リスク低減策は、まず危険源をなくす、または危険を小さくする本質的安全設計を検討し、次に安全柵やセンサーなどの保護方策、最後に手順書・教育・注意表示などの管理的対策を組み合わせるのが基本です。

パレタイザーの点検で確認したい項目

パレタイザーを安全に使い続けるには、日常点検と定期点検の両方が必要です。点検頻度や項目はメーカー・機種・使用条件によって異なるため、最終的には取扱説明書やメーカーの保守基準に従ってください。

日常点検の例

  • 非常停止ボタン、インターロック、ライトカーテン、エリアセンサーが正常に動作するか
  • ロボット、ハンド、コンベヤ、パレット搬送部に異音・振動・損傷がないか
  • 吸着パッド、グリッパー、クランプ部に摩耗・破損・エア漏れがないか
  • 搬送物やパレットの位置ずれ、荷崩れ、詰まりが起きていないか
  • 作業者通路や安全柵の周辺に障害物がないか
  • 警告表示、立入禁止表示、作業中表示が見やすい状態か

定期点検の例

  • 主要ボルト、固定部、架台、ガードのゆるみ
  • 可動部、減速機、ベアリング、ベルト、チェーンの摩耗・潤滑状態
  • 空圧・油圧・電気系統の異常
  • センサー、エンコーダ、サーボ系統、ストッパーの異常
  • 停止性能、非常停止、保護停止、再起動防止機能の確認
  • 制御盤、配線、コネクタ、ケーブルベアの損傷
  • バックアップ電池、消耗部品、吸着パッドなどの交換時期

点検で異常が見つかった場合は、設備を無理に稼働させず、メーカーまたは保守業者へ確認しましょう。点検・補修の記録は、再発防止や保守計画の見直しにも役立ちます。

ロックアウト/タグアウトによる管理

ロックアウト/タグアウトは、点検・修理・清掃・調整などの作業中に、設備が誤って起動したり、残留エネルギーが放出されたりすることを防ぐための管理手順です。

パレタイザーでは、電気、空圧、油圧、重力、蓄圧、コンベヤの慣性、昇降部の落下など、複数のエネルギー源を確認する必要があります。主電源を切るだけでは安全を確保できない場合があるため、エネルギー源の遮断、残留エネルギーの解放、ロック、タグ表示、停止確認を手順化しましょう。

ロックアウト/タグアウトの基本手順

  • 対象設備と作業内容を確認する
  • 電気・空圧・油圧・重力などのエネルギー源を特定する
  • 設備を停止し、エネルギー源を遮断する
  • 遮断箇所をロックし、作業中であることをタグで表示する
  • 残留エネルギーを解放または固定する
  • 起動操作を行っても動かないことを確認する
  • 作業終了後、工具・人員・ワークを確認してから復旧する

複数人で作業する場合は、誰がロックを取り付け、誰が解除できるのかを明確にします。作業者本人以外が勝手にロックを外せる運用にすると、誤起動のリスクが高まります。

パレタイザーの事故で起こりやすい3パターン

巻き込まれ

コンベヤローラー、ベルト、チェーン、ハンドの可動部などに、手、衣服、髪、手袋が巻き込まれる事故です。清掃や詰まり除去のときに発生しやすいため、停止・ロックアウト・残留エネルギー確認を徹底します。

挟まれ

ロボットアーム、昇降部、パレット搬送部、固定物との間に身体を挟まれる事故です。可動範囲への立ち入り制限、インターロック、安全柵、作業手順の整備が重要です。

衝突・落下

ロボットや搬送物との衝突、積み付け中の荷崩れ、吸着ミスによる落下、パレットの転倒などの事故です。搬送物の形状・重量・重心・包装状態に合ったハンド選定、積み付けパターン、安全速度、落下防止対策を確認します。

不十分な安全対策が原因の事故事例

機械の停止確認が不十分だった事例

吸着エラーや詰まりを解消しようとして、設備を完全に停止しないまま作業者が可動部へ近づき、手を挟まれる事故が起きることがあります。復旧作業では、停止ボタンを押すだけでなく、動力源の遮断、残留エネルギーの確認、再起動防止を手順化することが必要です。

可動範囲内へ立ち入った事例

ロボットを停止させないまま可動範囲内へ入り、マニプレータや周辺設備との間に挟まれる事故があります。安全柵や立入禁止措置がない、単独作業になっている、異常時の対応手順が曖昧といった状態はリスクを高めます。

操作ミスによる事例

停止・復旧・手動操作の際に、ボタンの押し間違いや合図不足によって設備が想定外に動き、挟まれや衝突が発生することがあります。操作盤の表示、権限管理、作業者教育、複数人作業時の合図ルールを整えることが重要です。

安全対策をしっかり行うことで、パレタイザーを安定運用できる

パレタイザーは、荷積み作業の省人化や作業負担の軽減に役立つ設備です。ただし、安全対策が不十分なまま導入すると、事故や設備停止によって本来の効果を発揮できません。

導入時は、労働安全衛生規則やISO 10218シリーズなどを踏まえ、ロボット本体だけでなく、ハンド、搬送物、コンベヤ、安全機器、作業者動線、点検・復旧手順まで含めて確認しましょう。協働ロボットであっても、リスクアセスメントと現場に合った安全対策は欠かせません。

メーカーやSIerに相談する際は、設備仕様だけでなく、安全設計、妥当性確認、作業者教育、保守体制まで確認しておくと、導入後の安定運用につながります。

参照元

  • ISO「ISO 10218-1:2025 Robotics - Safety requirements - Part 1」https://www.iso.org/standard/73933.html
  • ISO「ISO 10218-2:2025 Robotics - Safety requirements - Part 2」https://www.iso.org/standard/73934.html
  • 安全衛生情報センター「産業用ロボットの使用等の安全基準に関する技術上の指針」https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-7/hor1-7-13-1-0.htm
  • 厚生労働省「産業用ロボットと人との協働作業が可能となる安全基準を明確化しました」https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/pamphlet_140115.pdf
  • OSHA「Control of Hazardous Energy - Lockout/Tagout」https://www.osha.gov/control-hazardous-energy
  • ISO「ISO 45001:2018 Occupational health and safety management systems」https://www.iso.org/standard/63787.html

生産性を向上させたい場所から選ぶ!
おすすめパレタイザー3選

生産現場や物流センターで自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、導入において、どの工程でどの程度の生産性向上が期待できるかを具体的に確認することが重要です。そこで、生産性向上の観点でおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。

機器1つで最大5人分の労働力(※)
荷積みの生産性を安定させる

パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50

(メーカー:YUSHIN(旧:ユーシン精機))

YUSHIN(旧:ユーシン精機)
引用元HP:YUSHIN(旧:ユーシン精機)公式サイト
(https://www.yushin.com/ja/products/detail/pa.html)

特徴

  • 最大1時間500個の運搬力。四方向すべてにパレット搬送路が設置が可能で、生産効率の良い配置を実現。
  • 誰にでも操作しやすい機能性の高いコントローラ。位置補正機能もあり、ワンタッチでパターン変更も可能
※...人によるパレタイズの生産性を1時間に約100〜150個と仮定として算出。

少種・大量生産のライン
コンベア全体の生産性向上

フジエース
袋用

(メーカー:不二技研工業)

不二技研工業
引用元:不二技研工業
(https://fujigiken.racms.jp/paretaiza/)

特徴

  • 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー
  • 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)

過酷な環境でも耐えうる
防塵・防滴の安定した稼働

MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節

(メーカー:安川電機)

安川電機
引用元:安川電機
(https://www.e-mechatronics.com/product/robot/palletizing/lineup/hc30pl/spec.html)

特徴

  • 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
  • 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。

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