製造業の事例
製造業では、人手不足や労働環境の厳しさといった課題が年々深刻化しています。こうした状況を解決する手段として注目されているのが、荷積み作業を自動化できる「パレタイザー」です。この記事では製造業の課題やパレタイザー導入のメリット、実際の導入事例を紹介します。
- ● 製造業では人手不足や労働環境の悪化が深刻な課題になっている
- ● パレタイザーを導入することで、作業負担の軽減や人手不足の解消が期待できる
- ● 実際にパレタイザーを導入した企業では生産性が向上し、ヒューマンエラーの防止にもつながっている
製造業が抱える課題
人手不足
日本では少子高齢化が進み、多くの業界で人手不足が深刻化しています。製造業も例外ではなく、特にその影響を強く受けている分野のひとつです。ものづくりの現場では、「職人」と呼ばれるような高い技術を持った人材が不可欠です。しかし、少子化の影響でそうした人材を育てる余裕がなく、技術の継承が難しくなっています。
加えて「仕事がきつい」「体力的に厳しい」「環境が悪い」といったネガティブなイメージも人材不足に拍車をかけています。このようなイメージから応募が集まりにくく、新たな人材が入ってこないため、現場では既存の作業員に負担が集中。無理な働き方が続き、体力的・精神的に限界を迎えて辞めてしまう人も出てくるという悪循環が生まれています。
また、荷積みや荷降ろしを手作業で行っていることも、作業効率を大きく下げる要因のひとつです。こうした作業に人手を取られると、製造ラインに必要な人員が確保できず、生産スピードも落ちてしまいます。結果として、「良いものを効率よくつくる」という製造業の理想が実現しにくくなっているのです。
労働環境の悪さ
製造業では、体力的な負担が大きくなりがちです。重い物の持ち運びや長時間の立ち作業に加え、暑さや寒さといった環境面の厳しさもあり、現場では日々、大きな負荷がかかっています。こうした状況が原因となり、慢性的な疲労やケガ、さらには離職につながるケースも少なくありません。
なかでも、荷積みや荷降ろしといった反復作業は、特に体への負担が大きい作業のひとつです。段ボールや袋などを決められた位置に積んだり降ろしたりする工程は、見た目以上に腰や肩への負担が大きく、ケガのリスクも高まります。
また、単調な作業が続くことで集中力が切れやすくなり、ヒューマンエラーや事故を引き起こす可能性もあるでしょう。こうした過酷な労働環境が続けば、人が集まりにくくなるうえ、採用してもすぐに離職されてしまうという悪循環に陥りかねません。
製造業の人手不足・労働環境を改善!
パレタイザー導入のメリット
製造業が抱える人手不足や作業負担の問題。その多くは、荷積み作業の自動化によって大きく改善できます。
なかでも、コンベアから流れる荷物を自動でピックアップし、設定どおりにパレットへ積み付ける「パレタイザー」は、現場の生産性向上に貢献する頼れる存在です。メーカーによっては、積み付けパターンの切り替えやラベル位置の調整なども柔軟に対応でき、実際の現場に合わせた使い方が可能です。
パレタイザーを導入するメリットを詳しく見ていきましょう。
人手不足の解消
荷積み作業をパレタイザーに任せることで、これまで必要だった人手を他の工程に振り分けられるようになります。とくに、人手不足が深刻な現場では、荷積みに割かれていた人材の再配置が可能になり、全体の人材活用の効率がアップします。
その結果、限られた人数でも安定した運用ができるようになり、生産性の向上や人件費の抑制にもつながります。
労働環境の改善
荷積み作業は、腰や肩にかかる負担が大きく、長時間続けることで体へのダメージが蓄積されます。また、単純作業の繰り返しによる精神的なストレスも見過ごせません。
パレタイザーを導入すれば、こうした身体的・精神的な負担を軽減でき、現場の労働環境が大きく改善されます。働きやすい職場環境が整えば、人材の定着率も高まり、離職の防止にもつながるでしょう。
生産性の向上
製品の品質を維持しながら効率よく生産を行うには、作業工程全体のバランスが重要です。荷積み作業を機械に任せることで、人手が必要な工程に人材を集中できるようになり、現場全体の流れがスムーズになります。
また、技術や判断力が求められる工程に人を割けるため、品質面の向上にも貢献します。こうしたリソースの最適化が、生産性の底上げにつながるのです。
パレタイザーを導入することで、人手不足の解消や作業環境の改善、生産性の向上が期待できます。ただし、効果を最大限に引き出すには「自社の現場に合った製品を選ぶこと」が重要です。
当サイトでは設置スペースや積載物の種類、1個あたりの重さ(可搬質量)など、基本的な条件をチェックするだけで、自社に適したパレタイザーを見つけられる簡単な診断ツールをご用意しています。ぜひこちらもチェックしてみてください。
製造業におけるパレタイザー導入事例
計量包装パレタイジングラインでの事例
パレタイザー導入前は豆30kgが入った袋をパレットに人力で積み込んでおり、作業員の肉体的負担と作業効率の悪さが課題となっていました。20種類以上の積み付けパターンに対応しているロボットパレタイザーを導入したところ、人力での作業と変わらない高精度の積み付けができるようになりました。当初の課題だった作業員の肉体的負担が軽減し、生産性も大幅に向上しました。さらに、作業員が別の業務に取り組むことができるようになったことで、作業員のスキルアップにもつながる結果となりました。
※参照元:旭川計量機株式会社公式HP/
事例3~穀物関連 計量包装パレタイジングライン
(http://www.asahikawa-scale.co.jp/cases/jirei03/)
食品製造ラインでの事例
122品種にも及ぶ多品種生産の食品製造ラインでロボットパレタイザーを3台導入し、生産性が飛躍的に向上した事例です。もともと旧型のロボットパレタイザーを1台導入しており、パレタイザーと3人の作業員による手積み作業で品種別の積み付けを行っていました。
ロボットの老朽化と作業員の労働負荷が高まったことを受け、25年以上も前に導入した旧型から高速ロボットパレタイザーに切り替え、人力での作業を廃止しました。3台のロボットパレタイザーがランダムに流れる品種のケースを決められたパレットに積んでいき、以前はあった積み間違いもほとんどなくなったようです。
最大12kgものケースを2個掴みで軽々と処理でき、現在は時間あたり2,200ケースの処理能力で安定稼働を続けています。
※参照元:オークラ輸送機株式会社公式HP/大分みそ協業組合 様
(https://www.okurayusoki.co.jp/technical/casestudy/03/)
生産ライン最終エリアの導入事例
スウェーデンに本社を置くメーカーと協業し、協調ロボットを開発しました。企業内でプロジェクト設計を担当し、現場のフィードバックを反映したロボットです。
完成した標準化協調ロボットは自立型で、別の場所への移設やライン間の入れ替えを容易に行うことができます。また、安全機能の搭載により、ロボットの近くでも作業員が安全に作業できるようになっています。協調ロボットの導入により作業員は単調な反復作業から解放され、より付加価値の高い業務に専念できるようになったとのこと。高い経済性を訴求しており、導入した会社では、約1.5~2年で投資額を回収できる見込みです。
※参照元:オムロン公式HP/導入事例:FlexLink AB様
(https://www.fa.omron.co.jp/product/robotics/lineup/collaborative/video/application26/)
鶏卵の積み付け事例
鶏卵のパレタイジングは約13kgもの段ボール箱を積み込む重労働で、さらに正確かつスピーディーな積み付けが求められるため、作業員にかかる負担は相当なものです。工場によっては1人の作業員が複数のラインを担当することもあり、労働環境の悪さから人材の定着率が悪く、生産性の低下も招いていました。
これまでは作業スペースの問題からロボットを導入できていませんでしたが、レイアウトの自由度が高い協働ロボットによって省スペースのパレタイズシステムを構築しました。重労働だった鶏卵のパレタイジングを自動化したことで職場環境が改善され、人材も確保できるようになりました。また、省人化によって発生した余剰人員を付加価値の高い作業に再配置できるようになり、生産も安定しました。
※参照元:ALFIS公式HP/箱詰された鶏卵のパレタイズ事例
(https://rsi.jrcnet.co.jp/solution-eggpalletizing/)
食品の重量検査作業とパレタイズ作業の実施事例
多品種少量生産の食品の製造現場は自動化が難しく、人力での作業に頼るしかないことから、作業員の労働負荷が問題となっていました。
そこでアームにカメラとロードセルを取り付けたロボットを導入したところ、画像認識により製品の種類を識別し、指定のパレットへの積み込みが自動化できるようになりました。また、重量を検知するロードセルによって重量が基準から外れているものは自動で払い出しされるため、人員配置が不要となり、作業環境が大幅に改善しました。
※※参照元:ロボカル公式HP/
パレタイジングロボットの導入と活用方法!導入事例とおすすめSler5選!
(https://robokaru.jp/types/palletizing-robot-introduction/#パレタイジングロボットの導入事例)
まとめ
製造業では、人手不足や作業者への負担といった課題が深刻化しています。なかでも荷積みや荷降ろしの作業は、作業効率を下げるだけでなく、労働環境の悪化や人材の定着率低下にもつながりやすい工程です。
こうした背景の中、荷積み作業を自動化できるパレタイザーの導入は、有効な解決策のひとつといえるでしょう。実際の導入事例からも、作業負担の軽減や生産性の向上といった効果がうかがえます。
当サイトでは、パレタイザーの選定に役立つ情報をまとめています。労働力不足の解決に貢献するおすすめのパレタイザー3選も紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
生産性を向上させたい場所から選ぶ!
おすすめパレタイザー3選
生産現場や物流センターで自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、導入において、どの工程でどの程度の生産性向上が期待できるかを具体的に確認することが重要です。そこで、生産性向上の観点でおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。
機器1つで最大5人分の労働力(※)
荷積みの生産性を安定させる
パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50
(メーカー:YUSHIN(旧:ユーシン精機))
(https://www.yushin.com/ja/products/detail/pa.html)
特徴
- 最大1時間500個の運搬力。四方向すべてにパレット搬送路が設置が可能で、生産効率の良い配置を実現。
- 誰にでも操作しやすい機能性の高いコントローラ。位置補正機能もあり、ワンタッチでパターン変更も可能
少種・大量生産のライン
コンベア全体の生産性向上
フジエース
袋用
(メーカー:不二技研工業)
(https://fujigiken.racms.jp/paretaiza/)
特徴
- 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー。
- 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)
過酷な環境でも耐えうる
防塵・防滴の安定した稼働
MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節
(メーカー:安川電機)
(https://www.e-mechatronics.com/product/robot/palletizing/lineup/hc30pl/spec.html)
特徴
- 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
- 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。