小売業の事例

小売業の物流現場では、人手不足や荷姿の多様化、店舗ごとの対応の煩雑化など、さまざまな課題が発生しています。特に荷積み・荷下ろしに関する負担や業務の非効率さは、ドライバーや店舗スタッフ双方に影響を与えています。

こうした課題の解決策として注目されているのが、荷積み作業を自動化できる「パレタイザー」です。この記事では、小売業特有の物流課題とその背景、パレタイザー導入のメリット、実際の導入事例を紹介します。

この記事を読んで分かること
  • 小売業では、店舗業態の多様化や小口配送の増加により物流の課題が複雑化している
  • パレタイザーを導入することで、作業者の負担軽減や人手不足の解消が期待できる
  • 実際に導入した企業では、作業負担の軽減や人手不足の解消に加え、ヒューマンエラーの防止といった効果が表れている

小売業における物流の課題

小売業では、業態の変化や消費者ニーズの多様化により、物流業務が年々複雑になっています。人手不足の中で対応すべき範囲は広がり、物流現場には多くの負担がのしかかっています。ここでは、特に課題となりやすい4つのポイントを紹介します。

小口配送と荷姿の多様化

少子高齢化や利便性の重視により、コンビニやECサイトなどの業態が増えています。その影響で都市部では小規模商圏の店舗が増え、小口配送のニーズも増加。配送頻度が高くなるほど、作業量も増加し、物流現場の効率は下がりがちです。

また、メーカーごとに異なるパレットや荷姿で商品が届くことも多く、積み込み作業のしづらさやスペースの圧迫も問題です。荷姿が統一されていないと、作業工程に無駄が生まれやすく、管理の煩雑さも増してしまいます。

店舗対応の煩雑化

ECサイトやネットスーパー、都市型小規模店舗などの台頭により、小売業の流通チャネルは多様化しています。これに伴い、配送先となる店舗の規模や荷受け体制もさまざまになり、現場での対応が煩雑化。とくに荷積み・荷下ろしにおいては、店舗ごとに対応方法やルールが異なり、マニュアル化や効率的な運用が難しくなる傾向があります。

一部の現場では店舗側に人手が足りず、ドライバーが荷受けや搬入まで対応せざるを得ないケースも発生しています。

発荷主と着荷主の意識のズレ

物流に関わる発荷主(メーカー・卸)と着荷主(小売店)では、物流の課題に対する考え方が異なるケースが多く見られます。たとえば、メーカー側はトラック便の削減や物流コストの最適化を求める一方、小売側は配送頻度や荷姿の標準化を望んでいるなど、相互の要求にズレが生じがちです。

このようなすれ違いが蓄積すると、実際の配送現場にしわ寄せが起こり、ドライバーや現場作業者への負担が増してしまいます。

契約外業務によるドライバーの負担増

本来、ドライバーの業務範囲は「積み込みから荷下ろしまで」が一般的です。しかし実際の現場では、バックヤードへの搬送や店頭への陳列など、契約外の作業を求められるケースも少なくありません。

このような事態が起きる背景には、契約内容の曖昧さや店舗側との認識のズレがあります。結果として、ドライバーに本来の業務以上の負担がのしかかり、過重労働や生産性の低下といった問題を引き起こしているのです。

小売業の物流課題を改善!
パレタイザー導入のメリット

小売業の物流現場では、人手不足や荷積み作業の煩雑さが課題となっています。こうした課題の解決策として有効なのが、荷積みや荷下ろし作業を自動化できる「パレタイザー」の導入です。ここでは、パレタイザーを導入することで得られる具体的なメリットを紹介します。

人手不足の解消

パレタイザーを導入すれば、荷積み作業を自動化できるため、人手不足による遅延や現場負荷の軽減が期待できます。また、これまで作業にあたっていた人員を他の工程に振り分けることで、現場全体の人材配置の最適化が可能。人件費の削減にもつながります。

荷積み・荷下ろし作業の負担軽減

飲料や食品など、重量のあるケースや不安定な荷姿の積み下ろし作業は、作業者の体への負担が大きく、ケガのリスクも伴います。パレタイザーを導入することで、こうした作業が不要になり、腰や肩への負担を大幅に軽減することが可能。人材の定着率や職場の安全性の向上にもつながるでしょう。

また、小売業では、取引先や商品カテゴリによって荷姿がバラバラになることも多く、積み込み作業が非効率になりがちです。近年のパレタイザーは、混載ケースや異なるサイズ・重量の荷物にも柔軟に対応できるタイプが登場しており、複雑な現場にも対応しやすくなっています。

ドライバー負担の軽減

パレタイザーの導入により、荷積み・荷下ろしの自動化が進めば、ドライバーが契約外の作業を強いられるケースも減っていきます。結果として配送効率が向上し、店舗へのスムーズな配送やドライバーの過重労働の防止も叶えられるでしょう。

自社に合うパレタイザーを導入して生産性アップ!

パレタイザーを導入することで、人手不足の解消や作業負担の軽減といった効果が期待できます。ただし、効果を最大限に引き出すには「自社の現場に合った製品を選ぶこと」が重要です。

当サイトでは設置スペースや積載物の種類、1個あたりの重さ(可搬質量)など、基本的な条件をチェックするだけで自社に適したパレタイザーを見つけられる簡単な診断ツールをご用意しています。ぜひこちらもチェックしてみてください。

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小売業におけるパレタイザー導入事例

スーパーマーケット・ドラッグストア向け「Mujin Robotパレタイザー」の事例

従業員の高齢化が進み、若年層の採用が難しくなってきたため、十数kgもある食品や飲料ケースの荷下ろしの人手不足を解消するために「Mujin Robotパレタイザー」を導入した首都圏スーパーマーケットチェーンの事例です。

Mujin Robotパレタイザーは混載ケースに対応しており、登録作業が必要ありません。パレットを荷台に置くだけで荷下ろしがスタートします。バーコード探索機能付きで搬送するケース品のバーコード位置を特定して向きを揃えることも可能です。また、ケースのダメージも最小限に抑えられることができます。

導入後は重量物(飲料・油・調味料等)をロボットに任せることで従業員の負担が軽くなり作業効率もアップしました。

Mujinのデパレタイズロボットは短期間で導入可能です。

※参照元:MUJIN公式HP/首都圏スーパーマーケットチェーン
https://www.mujin.co.jp/example/

日本生協連、鳥栖冷凍流通センターでの事例

日本生協連、鳥栖冷凍流通センターでは冷凍商品の入荷から、保管・搬送・出荷までを行っています。導入目的は取引先からお客様までの経路短縮とセンター一体運営による効率化、配送一元管理による効率化です。

システムを導入した結果、品温管理強化によって質の高い商品が確保でき、集品ミス率を1/100,000以下に削減することができました。オーダマチックとオーダマージソータの運営能力は31,500トレー/H、入出庫能力は2,400ケース/Hです。

導入した製品はラックライナー、シャトル&サーバー、コンベアです。ラックライナーには二重三重の安全装置が付いており、保管物のサイズや数量、さまざまな形状や保管方法にも対応可能です。

※参照元:IHI物流産業システム株式会社公式HP/日本生協連、鳥栖冷凍流通センター様
https://ihi-logistics.com/cases/detail/4

飲料ケースの荷下ろし作業を自動化した事例

飲料ケースの荷下ろし作業は重労働です。労働環境や人手不足により自動化が検討されていました。ロボット化できなかった理由は多品種ケースへの対応が必要である、通常の上面吸着ハンドはケースが破れてしまうなどです。

そこで、多品種対応のマスタレスデパレタイズロボットと特殊ハンドを導入したところ、マスタレス機能で品質登録が不要になりロボットが荷下ろし作業を担当することによって人の手を必要としない荷下ろしができるようになりました。また、可動式の特殊ハンドがケースのダメージを最小限に抑えています。

パレットマガジンによる空パレットのストックやコンベアでゆとりを持たせることにより、フォークリフトの作業員の負担を軽減することができます。

※参照元:Kyoto Robotics株式会社公式HP/イオン株式会社様
https://www.hitachi-automation.co.jp/kyotorobotics/jp/case/case02/

まとめ

小売業では、店舗業態の多様化や小口配送の増加により物流に関する課題が複雑化しています。なかでも荷積み・荷下ろし作業は、現場の効率を下げる要因となり、作業者への負担も大きくなりがちです。

こうした課題を解決する手段として注目されているのが、荷積み作業を自動化できる「パレタイザー」の導入です。実際に導入した企業の事例でも、作業者の負担軽減や人手不足の解消、ヒューマンエラーの防止といった効果が見られています。

当サイトでは、パレタイザーの選定に役立つ情報をまとめています。労働力不足を改善できるおすすめのパレタイザー3選も紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

労働力不足を解決する
おすすめのパレタイザー3選

生産性を向上させたい場所から選ぶ!
おすすめパレタイザー3選

生産現場や物流センターで自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、導入において、どの工程でどの程度の生産性向上が期待できるかを具体的に確認することが重要です。そこで、生産性向上の観点でおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。

機器1つで最大5人分の労働力(※)
荷積みの生産性を安定させる

パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50

(メーカー:YUSHIN(旧:ユーシン精機))

YUSHIN(旧:ユーシン精機)
引用元HP:YUSHIN(旧:ユーシン精機)公式サイト
(https://www.yushin.com/ja/products/detail/pa.html)

特徴

  • 最大1時間500個の運搬力。四方向すべてにパレット搬送路が設置が可能で、生産効率の良い配置を実現。
  • 誰にでも操作しやすい機能性の高いコントローラ。位置補正機能もあり、ワンタッチでパターン変更も可能
※...人によるパレタイズの生産性を1時間に約100〜150個と仮定として算出。

少種・大量生産のライン
コンベア全体の生産性向上

フジエース
袋用

(メーカー:不二技研工業)

不二技研工業
引用元:不二技研工業
(https://fujigiken.racms.jp/paretaiza/)

特徴

  • 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー
  • 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)

過酷な環境でも耐えうる
防塵・防滴の安定した稼働

MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節

(メーカー:安川電機)

安川電機
引用元:安川電機
(https://www.e-mechatronics.com/product/robot/palletizing/lineup/hc30pl/spec.html)

特徴

  • 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
  • 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。

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