卸売業の事例

卸売業の物流現場では、人手不足や積み付け作業の負担といった課題が発生しています。とくに商品をパレットに積み付ける作業は時間も体力も必要で、人員の確保が難しいなかでは大きな負担になりがちです。
こうした課題の解決策として注目されているのが、荷積み作業を自動化できる「パレタイザー」の導入です。この記事では、卸売業が抱える物流課題とパレタイザー導入のメリット、実際の導入事例を紹介します。
- ● 卸売業の物流現場では、人手不足や作業スタッフの身体的負担などさまざまな課題が発生している
- ● パレタイザーを導入することで、作業負担の軽減や人手不足の解消が期待できる
- ● 実際にパレタイザーを導入した企業では作業効率の大幅な向上にも成功している
卸売業における物流の課題
作業スタッフの身体的負担が大きい
卸売業の現場では、商品をパレットに積み付ける作業が繰り返し発生します。重量物や大型商品を扱うことも多く、手作業では腰や腕への負担が大きくなりがちです。一日に何度も荷物を持ち上げる作業が続くと、作業スタッフの疲労は蓄積され、ケガのリスクも高まります。
人手不足が深刻化するなかで、こうした重労働を担える人材の確保はますます難しくなっています。その結果、限られたスタッフに負担が集中し、疲労や離職を招くという悪循環に陥るケースも少なくありません。
作業スピードや品質にばらつきが出やすい
パレットへの積み付け作業は、作業スタッフの経験やスキルによって効率や仕上がりに差が出やすい工程のひとつです。経験豊富なスタッフであればスムーズに対応できる場面でも、未経験者が担当すると作業時間が倍以上かかることもあります。
また「重いものを下に積む」「崩れにくい配置にする」といった判断は、作業者の感覚や経験に頼っていることが多く、品質が安定しにくいのが実情です。積み方が不安定だと輸送中に荷崩れや破損が発生しやすくなり、返品やクレームの原因にもなります。
配送以外の作業でドライバーに負担が集中
卸売業の物流現場では、ドライバーが本来の配送業務だけでなく、荷下ろしやパレットへの積み付けまで担当するケースが少なくありません。
その結果、ドライバーの拘束時間が延び、運行スケジュールに影響を及ぼすことがあります。特に繁忙期には、現場作業の遅れがそのまま配送遅延につながるおそれも。さらに倉庫作業を兼ねることで拘束時間が長くなり、過重労働のリスクも高まります。
卸売業の物流課題を改善!
パレタイザー導入のメリット
作業効率の向上
パレタイザーを導入する最大のメリットは、積み付け作業の自動化による効率化です。これまで人力で対応していた作業を機械が担うことで作業スピードが一定化し、出荷準備のリードタイムを短縮できます。
繁忙期でも安定した処理能力を維持できるため、全体の生産性向上につながるでしょう。
人手不足の解消
積み付け作業をパレタイザーが担うことで、人員をほかの業務に振り分けられるようになります。限られたスタッフを検品や在庫管理といった付加価値の高い作業に集中させられるため、人手不足の現場でも安定したオペレーションが可能です。
作業負担の軽減と労働環境の改善
重量物を持ち上げる作業や繰り返し行う積み付け作業は、作業員の腰や腕に大きな負担をかけます。パレタイザーを導入することでこうした負担を大幅に軽減でき、腰痛やケガといったリスクも低減。
さらに労働環境が改善されることで、年齢や性別を問わず安心して働けるようになり、スタッフの定着率向上や離職防止にもつながります。
作業品質とスピードの安定化
パレタイザーはあらかじめ設定したルールに従って荷物を積み付けるため、作業品質が均一になります。結果として人によるバラつきがなくなり、輸送中の荷崩れや破損リスクも軽減。返品やクレームの発生防止にもつながります。
さらに人の疲労や体調に左右されず、安定したスピードで作業できるため、生産計画や出荷スケジュールが立てやすくなる点もメリットです。
ドライバーの拘束時間短縮にも貢献
荷積み作業の一部をドライバーが担当している現場では、出荷準備の遅れが配送スケジュール全体に影響を及ぼすことがあります。パレタイザーを導入すれば荷積み作業を自動化できるため、ドライバーが倉庫作業に関わる必要がなくなります。
その結果、ドライバーは本来の配送業務に専念でき、拘束時間の短縮や運行効率の改善につながります。
パレタイザーを導入することで、作業効率の向上や人手不足の解消、作業者の負担軽減といった効果が期待できます。ただし、効果を最大限に引き出すには「自社の現場に合った製品を選ぶこと」が重要です。
当サイトでは設置スペースや積載物の種類、1個あたりの重さ(可搬質量)など、基本的な条件をチェックするだけで、自社に適したパレタイザーを見つけられる簡単な診断ツールをご用意しています。ぜひこちらもチェックしてみてください。
卸売業におけるパレタイザー導入事例
コンベレータ設備で人の動線を確保した事例
新しい設備を導入するために床面にコンベヤを設置すると、現在稼働している人やフォークリフトで現場の動線確保ができなくなってしまった事例です。
垂直搬送機2台を上昇する号機と下降する号機で設備を設置する、オーバーブリッジ仕様を提案したところ、動線の確保・増設ラインの処理能力を損なうことのなく作業を行うことができるようになりました。
袋物用機械式パレッタイザは製粉や製糖、肥料、飼料など、箱物用機械式パレッタイザは飲料、薬品業界等などを幅広い製品に使用されています。機械式パレッタイザは、インバーターやサーボモーターを採用しているため、省エネ、低騒音、環境にやさしいのが特徴です。
ファインテック株式会社では海外向けに、低能力型ガントリー式パレッタイザを開発、販売を行っています。
※参照元:ファインテック株式会社公式HP
( https://www.finetech-ltd.co.jp/casestudy/)
パレタイズロボット「CP180L」の事例
段ボールの中に詰めた商品をベルトコンベヤでパレタイズエリアに搬送、パレットに平積みし、荷崩れ防止用のラップを巻いて自動倉庫へ搬入するまでの工程をパレタイズロボット「CP180L」で全自動化に成功した事例です。
CP180L を選択した理由は「処理スピード」です。自社の生産スピードに対応できるロボットが必要であり、CP180L は自動化システムの設計時点で希望に添った製品でした。現在は1ラインにつき1700ケースが毎日コンベアラインから降りてきて、3台のロボットがそれぞれおよそ20パレットへの平積みする工程を行っています。
パレタイズの自動化システムを導入した結果、パレットに積む作業が無くなったラインでは身体的負担が軽減、「生産エリアから物流までの間に人が入らないため人的ミスもなくなった」と担当者は話しています。
※参照元:川崎重工株式会社公式HP/春日井製菓株式会社様
( https://kawasakirobotics.com/jp/case-studies/case_kasugaiseika/)
物流業務の集約と自動化で作業効率がアップした事例
混載パレタイズ製品は3階から倉庫内から商品を外に出し、レイヤーデパレタイザーでケース単位にした後コンベヤで搬送されます。次に2階の高能力ケース荷揃えシステム「シャトルラックM」に一時的に保管され、出荷するときはそこからケースが外に出されて、混載パレタイズステーションに搬送されるという流れです。
今まで別々の拠点で荷合わせを行っていましたが混載パレタイジングロボットを使用することにより、工程をすべて集約することができるようになったため、作業効率が大幅にアップしました。
混載パレタイジングロボットは、さまざまな形や大きさのプラスチック製のクレートやトート、段ボールのケースそれぞれのパレットを積載することができます。
※参照元:ダイフク公式HP/ コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社 様
様
( https://www.daifuku.com/jp/solution/casestudy/case041/)
まとめ
卸売業の物流現場では、人手不足や作業スタッフの身体的負担、作業品質のばらつき、さらにはドライバーへのしわ寄せなど、さまざまな課題が発生しています。これらの問題は、人手不足が深刻化するなかでますます大きな負担となり、現場の生産性や安全性を損なう要因になっています。
これらの課題を解決する有効な手段として注目されているのが「パレタイザー」の導入です。作業効率の向上や労働環境の改善はもちろん、安定した品質の確保やドライバーの拘束時間短縮にもつながり、卸売業全体の物流体制を強化できるでしょう。
当サイトでは、パレタイザーの選定に役立つ情報をまとめています。労働力不足を改善できるおすすめのパレタイザー3選も紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
生産性を向上させたい場所から選ぶ!
おすすめパレタイザー3選
生産現場や物流センターで自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、導入において、どの工程でどの程度の生産性向上が期待できるかを具体的に確認することが重要です。そこで、生産性向上の観点でおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。
機器1つで最大5人分の労働力(※)
荷積みの生産性を安定させる
パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50
(メーカー:YUSHIN(旧:ユーシン精機))
(https://www.yushin.com/ja/products/detail/pa.html)
特徴
- 最大1時間500個の運搬力。四方向すべてにパレット搬送路が設置が可能で、生産効率の良い配置を実現。
- 誰にでも操作しやすい機能性の高いコントローラ。位置補正機能もあり、ワンタッチでパターン変更も可能
少種・大量生産のライン
コンベア全体の生産性向上
フジエース
袋用
(メーカー:不二技研工業)
(https://fujigiken.racms.jp/paretaiza/)
特徴
- 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー。
- 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)
過酷な環境でも耐えうる
防塵・防滴の安定した稼働
MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節
(メーカー:安川電機)
(https://www.e-mechatronics.com/product/robot/palletizing/lineup/hc30pl/spec.html)
特徴
- 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
- 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。