パレタイザーとは・なぜ自動化が必要か

パレタイザー/パレタイジングロボットとは何か

パレタイザー/パレタイジングロボットは、パレット上に積載物を積み付ける作業を自動で行う装置のことです。パレタイザー/パレタイジングロボットには、主に「機械式」と「ロボット式」の2つの種類があります。それぞれの特徴の違いについて見ていきましょう。

  • 機械式
    リフレクターやコンベアなどの機械装置を使ったパレタイザー/パレタイジングロボット。同じ荷物を高速かつ大量に処理でき、大量生産のラインに適しています。
  • ロボット式
    産業用ロボットを使ったパレタイザー/パレタイジングロボット。柔軟性が高く、さまざまな荷物に対応できるのが特徴で、多品種少量生産のラインに適しています。

物流効率化のカギとなるパレットの普及

複数のモノを運ぶには1個ずつ手で運ぶより、一枚の板にまとめて載せて運んだ方が効率的なのは誰もが理解できるでしょう。この板のことを物流の世界では「パレット」と呼びます。目にした人も多いと思いますが、ちょうど簀の子のような形状をしていて、木製や塩化ビニール製など様々なタイプがあります。

このパレットに段ボールケースや袋物、ポリケースなどの積載物を積み付ける作業を「パレタイズ」または「パレタイジング」と言い、この作業を自動で積載する装置が「パレタイザー」です。逆にパレットの積載物をバラして下ろす作業が「デパレタイズ」「デパレタイジング」で、これを自動的に行うのが「デパレタイザー」です。

パレタイズには様々なパターンがある

一口にパレタイズと言っても、積載方法によって様々なパターンがあります。1段目から同じ方向に荷物を並べ、それ以降の全段も同じ方向に荷物を積み重ねていく「ブロック積み」が一般的ですが、段ごとに、荷物の向きを90度変えて積み上げていく「インターロック積み」など幾つか方法があります。

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パレタイジングロボットの原理

基本的にパレタイジングロボットは「マニピュレータ」「コントローラ」「プログラミングペンダント」の3つによって構成されています。

  • マニピュレータ
    パレタイジングロボットの動作・作業を行うマニピュレータはロボット本体のことで、多関節構造とサーボモーターによって動きます。先端のハンドピースを交換すればさまざまな作業を行えます。
  • コントローラ
    マニピュレータを動かし、制御を行う制御ボックスです。サーボアンプや基盤などが収納されています。
  • プログラミングペンダント(ティーチペンダント)
    マニピュレータの動作・設定・プログラム入力を行う部分です。プログラミングペンダントではデータの新規作成や変更、修正等が可能です。

通常パレタイジングロボットはXYZ座標を用いて作業しますが、近年では画像で座標認識を行うタイプも登場しています。パレットの上部から撮影してスペースを認識し、積載すべき場所を自動で判断。この場合は座標設定をせずにパレタイズが可能です。

物流現場で活躍が期待されるパレタイジングロボット

こうした作業を人間が行うのは大きな負担となります。そこで最近になって普及が進んでいるのがパレタイジングロボットです。パレタイジングロボットは、コンベアから流れる荷物をピッキングし、パレットにより適切なパターンで積み付けていく装置です。メーカーによっては、荷物を自動認識してティーチングレスに積み付けパターンを使い分けたり、積載物のラベルが外向きに見えるように配置する設定が可能な機種も開発しています。

パレタイジングロボットはまさに、SCMの物流最適化の一翼を担っていると言っても過言ではないでしょう。

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選択のポイントになるスペック

パレタイジングロボットを導入する場合、どれだけの重さを扱えるかを示す「可搬重量」、一つのワークを処理する「サイクル速度」(処理能力)、「アームの動作範囲」などがポイントになります。企業は自社製品の特性と照らし合わせながら、どのスペックを重視して機種を選ぶのかを十分に検討する必要があります。

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なぜ荷積みの自動化が必要なのか

庫内作業員・ドライバーとも人手不足が深刻化

自動化の背景にあるのは人手不足です。パレタイジングは負担の大きい作業で、これを担う庫内作業員の人手不足は深刻化しています。また、工場や物流センターから出荷された荷物を小売店などに運ぶトラックドライバーは、より人手が不足。食品のようにパレットに積載できない荷物は、ドライバーが荷台にバラで積み上げているのが実態です。

食品物流におけるロボット導入比率はまだ低い

北海道経済産業局が平成30年4月にまとめた「食料品製造業へのロボット導入の促進」に関する報告書(※)によると、アンケート回答企業の39.4%が「人手不足が深刻」と回答。また、ロボットを導入している企業は13.6%に留まり、多くの企業ではロボット導入が未だ検討されていないもしくは検討段階であることが分かりました。

ただ、見方を変えれば、ロボット導入による改善の余地は大きいともいえます。調査報告書では、ロボットを導入した企業は未導入の企業と比較し、人手不足の深刻度合が低くなっていることが判明しています。また、生産工程ごとにロボット導入比率を比較した結果、包装・充填の工程では「パレタイザー等の汎用ロボットの導入が可能かつ、導入の難易度も低い」と指摘されています。

※参照元:経済産業省北海道経済産業局資料(PDF)(https://www.hkd.meti.go.jp/hokis/20180417/report_gaiyou.pdf

物流業界に求められる業務効率化

現在、物流業界では「小口配送の増加」や「人口減少による人手不足」などが問題となっています。特に2024年4月に施行される時間外労働の上限規制が注目されており、「積み終わるまで働く」は実質不可能になったと言えるでしょう。万が一時間内に作業を終えられなければ、物流業務に支障が出ることになります。

そこで、改正物流総合効率化法案では物流業界の効率化を図るため、「モーダルシフトの加速」や「共同配送の取り組み」「輸送網の集約」などを推進。関連する作業速度を上げるための荷積み自動化も、効率化を実現する重要なポイントとなっています。

パレタイザー導入のメリット

人手不足緩和、生産性の向上が期待される

国土交通省では、SCM(サプライチェーンマネジメント)単位で物流をパレット化し、効率を上げる「一貫パレチゼーション」を推進しています。工場集荷から小売店まで同じパレットで運ぶことができれば積み替えの必要が無く、トラックドライバーはフォークリフトでパレットごと荷台に積み込むことができます。

そのため、パレタイジング作業で人手不足が深刻化すると、SCM全体の物流が滞ってしまいます。パレタイジングが自動化されれば庫内作業員は負担の大きい作業から解放され、人手不足の緩和が期待できます。また、工場や物流センター側は、パレタイジング要員を別の業務に配置して効率を上げ、生産性を高められるでしょう。

SCM(サプライチェーンマネジメント)とは

サプライチェーンとは原料の調達や製造、在庫管理、さらには商品の販売や物流といったメーカーから消費者まで続く一連の供給過程を一本の鎖に見立てた経済用語です。SCM(サプライチェーンマネジメント)とは文字通りサプライチェーンを管理する業務を指しており、対象となるソリューションに対して一連の供給過程をマネジメントします。

一貫パレチゼーションとは

運送・運搬する貨物について、生産者から消費者まで変形させたり解体させたりすることなく輸送・配送・保管といったロジスティクス業務を完了させる輸送方式を指しています。

一貫パレチゼーションを実現するためには全ての拠点で同じ規格のパレットを採用するなど、物流環境の均一化やオペレーションの合理化が重要です。

人件費削減

パレタイザーはこれまで複数の作業員で行っていた作業を1台でこなすこともできます。そのため人手不足解消はもちろん、作業にかかっていた人件費を削減できます。業務効率を上げながらコスト削減ができるのは、企業にとっても大きなメリットです。

労働環境の改善

人が搬送する場合、重量物を運んだり、細かい検査で神経を使ったりと、その負担は軽くはありません。パレタイザーを導入することで、これまで作業員が負担していた重労働をロボットが引き受けてくれます。労働環境の改善につながるでしょう。

作業員の安全確保

高所作業や危険物の取り扱いには事故のリスクもあるほか、騒音や粉塵の発生する作業では人体への健康被害も懸念されます。また、重量物の搬送は事故による怪我のリスクも否めません。危険な作業をパレタイザーが代わりに行うことで、作業員の安全確保も実現できるでしょう。

品質の安定

パレタイザーは作業精度が高く、作業の均一化が可能です。人の手による作業ではミスを0%にするのは難しいものの、ロボットは正確に設定すればミスなく作業を行えます。さらに重量物の搬送を長時間行っても作業能力は低下しないため、安定的に作業が可能。搬送の質が確保できます。

受注量増加が期待できる

パレタイザー導入によって人員不足解消や品質の向上が実現できれば、受注量増加も期待できます。パレタイザー導入コストはかかるものの、人件費削減や受注量増加は企業にとってプラスに働くでしょう。

スペースを有効活用して搬送できる

モノを運搬するためには、安全に運ぶための通路が必要です。しかし、上空や通路の確保が難しい場所では、人の手で運ぶことはできません。そこでロボットを使って自動化した搬送ラインを設置することで、スペースの有効活用が可能になることもあります。地上で通路を確保できない場合でも搬送経路を設計できます。

パレタイザー導入のデメリット

導入コストがかかる

パレタイザーを導入するには当然ながらコストがかかります。機械式パレタイザーの場合は特注になることもありますが、用途に合ったパレタイザーを導入すれば、人件費削減や品質向上などでムダなコストをカットできるようになるでしょう。

操作を覚える必要がある

パレタイザーを動かすためにはオペレーターによる操作が必要です。システム設計やプログラミングを行って自社業務に合わせる必要があるだけでなく、誤作動や故障時に対応できる正しい知識をもった担当者も欠かせません。そのため、パレタイザーの操作トレーニングを行う必要があります。

作業トラブル発生の可能性も

パレタイザーは均一かつ質の高い作業を行ってくれますが、システムトラブルによる停止や誤作動が発生することもあります。このような問題が頻発する場合は無人化が難しく、最低限の人員は必要です。チョコ停(空転ロスなど)に関しては発見ツールも開発されているため、併用もおすすめです。

荷積みしたい物品から選ぶ!
パレタイザー3選

生産現場や物流センターにおける自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、パレタイザーの導入で気を付けたいのが、扱っている物品の種類や特性に大きく依存すること。

そこで、荷積みしたい物品ごとにおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。重い袋詰め製品から繊細な電子部品まで、業務を革新するソリューションを見つけるヒントにしてください。

飲料・食品・日用品など
箱詰め製品を扱う企業向け

パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50

(メーカー:ユーシン精機)

ユーシン精機
引用元HP:ユーシン精機公式サイト
(https://www.ype.co.jp/product/detail/pa.html)

特徴

  • 製造ライン上で箱詰めされた製品をロボットハンドが追従し、パレットへ積み上げ
  • 最大1時間500個の運搬力。今ある製造ラインへの設置が可能で、パレットの運搬経路も複数確保できる。

食品原料・化学製品・建材製品など
袋詰め製品を扱う企業向け

フジエース
袋用

(メーカー:不二技研工業)

不二技研工業
引用元:不二技研工業
(https://fujigiken.racms.jp/paretaiza/)

特徴

  • 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー
  • 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)

半導体や医薬品など
塵や埃を考慮する企業向け

MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節

(メーカー:安川電機)

安川電機
引用元:安川電機
(https://www.e-mechatronics.com/product/robot/palletizing/lineup/hc30pl/spec.html)

特徴

  • 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
  • 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。

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