荷役の自動化・省人化

物流センターや倉庫で行われる「荷役(にやく)」は、物流全体を支える重要な作業です。荷役作業が滞ると、生産性の低下や物流コストの増加といった問題に直結してしまいます。

この記事では、荷役の概要や重要性、自動化のメリットや主要なマテハン機器について詳しく解説します。

荷役とは

「荷役(にやく)」とは、物流現場で行われる荷物の積み下ろしや運搬、入庫から出庫までの一連の作業を指します。

具体的には、以下のような作業が含まれます。

積み下ろしトラックや航空機、船などから荷物を降ろす作業
運搬人力、またはフォークリフトやクレーンを使って荷物を移動させる作業
積み付け荷物をパレットやトラックに整然と積み上げる作業
入庫届いた荷物を確認し、物流センターや倉庫で受け入れる作業
仕分け配送先や品種ごとに荷物を分類する作業
格納倉庫内の指定された保管場所に荷物を収納する作業
ピッキング注文に応じて必要な荷物を保管場所から取り出す作業
荷揃え荷物の内容や数量を確認しながら、配送や車両ごとに整える作業
出庫物流センターや倉庫から荷物を送り出す作業

いずれか1つの作業が滞れば、その後の工程にも大きな影響を与えかねません。たとえば、ピッキングが遅れると、次の出庫作業にまで支障が出てしまいます。また、荷役は物流コストの中でも大きな割合を占めています。作業が非効率なままだと、人件費がかさんでしまい、全体のコストを押し上げる原因となるでしょう。

荷役作業をいかに正確かつスムーズに進めるかは、物流における重要な課題です。荷役作業を効率化できれば、物流全体の改善が期待できます。その鍵となるのが、自動化や省人化を実現する「マテハン機器」の導入です。

荷役作業を自動化・省人化するメリット

マテハン機器を導入し、荷役作業を自動化・省人化することで、長時間の作業でも安定した効率を維持できます。早朝や深夜の時間帯でも途切れることなく稼働できるため、生産性を大幅に向上させることが可能です。また必要な人員も減るため、人件費の削減や人手不足への対応策としても効果的。現場の人員を、より価値の高い業務に集中させることができます。

また、荷役作業は重量物を取り扱う肉体的な負担や、単調な作業が続くことによる精神的な疲労が大きい業務ですが、自動化によってこれらの負担が軽減できます。事故やケガのリスクを低下させ、作業者の安全性向上と労働環境の改善も叶えられるでしょう。

荷役作業を自動化・省人化するマテハン機器

荷役作業を自動化・省人化するマテハン機器には、パレタイザーやフォークリフト、コンベア、ソーター、AGV(無人搬送車)などがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

パレタイザー

パレタイザーは、パレットへの積み付け作業を自動化する機器です。荷物を持ち上げてパレットに積み付ける作業は、作業者にとって特に負担の大きいものです。パレタイザーを導入することで、重量物の積み付け作業も正確かつ高速に行うことが可能。生産性の向上と作業者の負担軽減の両方を実現できます。

パレタイザーには、大きく分けて「ガントリー/直交型」「多関節ロボット型」「機械装置型」の3種類があります。

  • ガントリー/直交型
    XYZ軸の直線的な動作で、精度の高い積み付け作業が可能です。「多関節ロボット型」や「機械装置型」に比べて、省スペースかつ低コストで設置できる点が魅力です。
  • 多関節ロボット型
    ロボットアームが荷物を掴んでパレットに積載するタイプ。人間の腕のように曲線的な動作で、プログラミングにより繊細な動きも可能。レイアウトの自由度は高めですが、旋回するアームの可動域を考えると、意外とスペースを広くとる必要があります。
  • 機械装置型
    重い袋類の運搬や積み付けのために古くから開発された機械で、コンベアなどが一体化したタイプ。処理効率は非常に高いが、設置には広いスペースが必要で、導入にかかる費用も高いです。

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フォークリフト

フォークリフトは、車体前部のツメを使って荷物を持ち上げて運搬する車両型のマテハン機器です。数百キログラムから数トンの重量物を持ち上げることが可能で、物流倉庫や工場など、さまざまな場所で使用されています。

荷物を運搬するときはもちろん、高い棚にある荷物を安全に取り出したり、床に置かれた荷物を高所に積み上げたりと、多様な荷役作業をカバーできるのが特徴です。

フォークリフトの運転には専用の免許が必要でしたが、最近では免許不要で操作できる無人フォークリフトも登場しています。

コンベア

コンベアは、荷物を一定速度で連続的に運ぶ搬送装置です。ベルト式やローラー式、チェーン式などさまざまな種類があり、搬送する荷物や設置環境に応じて選択できます。

コンベアを導入することで、荷物の移動を完全に機械化し、生産性を大幅に向上させることが可能。仕分けや梱包、検品などの工程をつなぐ役割を果たし、業務全体を効率化できます。また、レイアウトの工夫により、高低差のある場所や階をまたぐ搬送にも対応可能です。

ただし、一度設置すると簡単には位置変更できないため、導入時には十分な計画が必要です。

ソーター

ソーターは、バーコードやセンサーを使って荷物を識別し、行き先や品目ごとに自動で仕分けする機器です。大量の荷物を短時間で正確に処理できるため、仕分けミスの防止にも役立ちます。特に業務量が多い現場や、多品種を取り扱う物流センターでは、その効果が最大限に発揮されるでしょう。

ソーターにはさまざまな種類があり、たとえば棒状の部品が荷物を押し出して仕分ける「スライドシュー式」や、ベルトの動きで荷物を仕分ける「クロスベルト式」が代表的です。そのほかにも「ポップアップ式」や「パン式」などがあり、荷物のサイズや重さ、種類によって選べます。

AGV(無人搬送車)

AGV(無人搬送車)は、指定された経路を自動で走行し、荷物を運搬する車両型の搬送機器です。床に敷いた磁気テープや埋め込んだガイド線を基に走行するタイプが一般的ですが、最近ではAIを搭載したタイプも登場しています。従来のAGVと違って磁気テープに依存せず、現場の状況に応じて走行経路を調整できるため、より効率的で柔軟な運搬が可能です。

また、AGVにはいくつかの種類があり、たとえば、荷物を直接載せる台車型や、カゴ台車やパレット台車をけん引して運搬するけん引型、天井に設置したレールを走行する天井走行車などがあります。特に天井走行車は、地上のスペースを使用しないため、限られた作業エリアを有効に活用したい現場で重宝されています。

生産性を向上させたい場所から選ぶ!
おすすめパレタイザー3選

生産現場や物流センターで自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、導入において、どの工程でどの程度の生産性向上が期待できるかを具体的に確認することが重要です。そこで、生産性向上の観点でおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。

機器1つで最大5人分の労働力(※)
荷積みの生産性を安定させる

パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50

(メーカー:YUSHIN(旧:ユーシン精機))

YUSHIN(旧:ユーシン精機)
引用元HP:YUSHIN(旧:ユーシン精機)公式サイト
(https://www.ype.co.jp/product/detail/pa.html)

特徴

  • 最大1時間500個の運搬力。四方向すべてにパレット搬送路が設置が可能で、生産効率の良い配置を実現。
  • 誰にでも操作しやすい機能性の高いコントローラ。位置補正機能もあり、ワンタッチでパターン変更も可能
※...人によるパレタイズの生産性を1時間に約100〜150個と仮定として算出。

少種・大量生産のライン
コンベア全体の生産性向上

フジエース
袋用

(メーカー:不二技研工業)

不二技研工業
引用元:不二技研工業
(https://fujigiken.racms.jp/paretaiza/)

特徴

  • 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー
  • 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)

過酷な環境でも耐えうる
防塵・防滴の安定した稼働

MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節

(メーカー:安川電機)

安川電機
引用元:安川電機
(https://www.e-mechatronics.com/product/robot/palletizing/lineup/hc30pl/spec.html)

特徴

  • 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
  • 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。

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