運送業の事例

運送業界では、ドライバー不足や長時間労働といった問題が深刻化しています。特に荷積み・荷下ろし作業は時間と体力を要するため、ドライバーの大きな負担となっています。現場の人手不足も相まって、配送業務に支障をきたすケースも少なくありません。
こうした課題の解決策として注目されているのが、荷積み作業を自動化できる「パレタイザー」の導入です。この記事では、運送業が抱える課題とパレタイザー導入のメリット、実際の導入事例を紹介します。
- ● 運送業界ではドライバー不足や長時間労働、荷積み作業の負担といった課題が深刻化している
- ● パレタイザーを導入することでドライバーの拘束時間を短縮し、身体的な負担も軽減できる
運送業の課題
ドライバー不足の深刻化
運送業では慢性的なドライバー不足が続いています。高齢化や若手人材の確保難によって現場を支える人材が減少し、既存ドライバーの負担が増大。その結果、配送効率の低下や労働環境の悪化につながり、さらなる人材流出を招くという悪循環も見られます。
長時間労働の常態化
ドライバー不足と並んで深刻なのが長時間労働の問題です。労働時間の増加は安全面や健康面に大きなリスクをもたらすため、業界全体で早急な改善が求められています。
その原因のひとつが「荷待ち時間」です。国土交通省が2021年に行った「トラック輸送状況の実態調査」により、1運行あたりの荷待ち時間は平均1時間34分にのぼることが明らかになりました。こうした待機時間の積み重ねがドライバーの拘束時間を長引かせ、長時間労働を常態化させる要因となっています。
※参照元:国土交通省「トラック輸送状況の実態調査結果(概要版)」[PDF]
(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001409523.pdf)
荷積み作業による負担
配送先での荷下ろしや倉庫での積み付け作業をドライバーが担うケースも少なくありません。重量物や不定形な荷物を繰り返し持ち上げる作業は体力的な負担が大きく、疲労やケガのリスクも高まります。
こうした作業に時間と体力を奪われることで、ドライバーは本来の業務である「運転」に集中しづらくなり、配送全体の効率が落ちてしまうことも大きな課題です。
運送業の課題を改善!
パレタイザー導入のメリット
長時間労働やドライバー不足、荷積み作業の負担といった課題を抱えている現場におすすめしたいのが「パレタイザー」の導入です。
まず大きなメリットは、ドライバーの拘束時間を短縮できること。これまで倉庫作業や積み付けに多くの時間を割かれていたドライバーが、本来の業務である配送に専念できるようになります。
また荷物の積み付けを機械が担うことで、作業スタッフやドライバーの負担を大幅に軽減可能。作業スピードや品質も機械によって一定化されるため、人的ミスの削減や配送品質の安定につながります。
パレタイザーを導入すれば、ドライバーの拘束時間短縮や作業負担の軽減といった効果が期待できます。ただし、最大限の成果を得るためには「自社の現場に合った製品を選ぶこと」が欠かせません。
たとえば、設置できるスペースの広さや積載物の種類、1個あたりの重さ(可搬質量)など、条件によって適したパレタイザーは大きく変わります。現場に合わない機種を選んでしまうと、効率化どころか新たな負担を生んでしまう可能性もあります。
当サイトでは、基本的な条件をチェックするだけで自社に適したパレタイザーを見つけられる「簡単診断ツール」をご用意しています。導入を検討している方は、ぜひこちらもチェックしてみてください。
運送業におけるパレタイザー導入事例
大手運送会社での積み付け事例
運送業では多種多様な荷物を取り扱うため、パレタイジングには荷物を認識する高い知能水準が求められます。大手運送会社では高精度の産業用3Dカメラが搭載されたパレタイザーを導入し、多種多様な荷物のパレタイジング・仕分けができるようになりました。優れた知能アルゴリズムによって寸法や要求に基づいた積み上げタイプが自動で生成され、箱の寸法がさまざまな混載パレタイジングもできます。
また、適した放置場所と進入角度を検出することで、パレタイジング過程で箱が崩れてしまう事態を回避します。混載パレタイジングの品質向上と効率がアップしました。
※参照元:Mech-Mind株式会社公式HP/動画
(https://jp.mech-mind.com/video/use-cases-videos.html)
※参照元:Mech-Mind株式会社公式HP/パレタイジング/デパレタイジング
(https://jp.mech-
mind.com/solution/depalletizing-and-palletizing.html)
単載・混載両対応のデパレタイザーの事例
単載・混載両対応のデパレタイザーはケースの形や色、形状が異なる場合でも1つ1つのケースを正しく認識して荷下ろしすることができます。3Dビジョンシステムを使用しているため、精度が高くハイスピードの画像処理ができる高性能のロボットです。
Kyoto Robotics株式会社のパレタイザーは「AIずらし機能」と「マスタ出力機能」も2つの機能を搭載しています。 AIずらし機能とはデパレタイザーと同時にケースのLWH(縦・横・高さ)と重量を計測することができる機能で、ケース自動倉庫の格納棚を決める、トラック配送予約時の体積・重量を計算するなど、物流センターで活用されています。
直交ロボットはアーム型ロボットに比べてスペースを取りません。狭い場所でも稼働でき、レイアウトの自由度が高く、コンテナや米袋・肥料などにも対応可能です。
※参照元:Kyoto Robotics株式会社公式HP/
(https://www.hitachi-automation.co.jp/kyotorobotics/jp/depalletize-solution/)
ロボットパレタイザ「フジエース」の事例
ロボットパレタイザ「フジエース」は省スペース・省エネを実現したロボットです。袋や箱、P箱などあらゆる商品の積み付けができ、ダンボールシートはダンボールシート専用機として専門的に開発されています。
限られたスペースを有効活用しながら積付けを行ないます。他にも、複数の等級に選別された箱を振り分けや6ラインの製品を3台のロボットで積み付けするなど幅広い製品や環境に対応したロボットです。
フジエースはパレット床置きタイプとパレット自動搬送タイプ、パレット直角自動搬送タイプなど実用性や効率性に優れたさまざまなレイアウトが用意されています。
※参照元:不二輸送機工業株式会社公式HP
( https://www.fujiyusoki.com/products/palletizer/)
段ボールケース・コンテナ両対応のデパレタイズロボットの事例
段ボールとコンテナを取り扱っている物流センターではそれぞれの専用のハンドを使用しなければなりませんでした。一般的には使用するハンドごとにロボットが必要ですが、MujinRobotは1台で段ボールケースとコンテナ両方の運搬が可能です。
3Dビジョンで対象物を認識するため、装着されているハンドで取り扱いができないと判断すると、別のハンドに自動で交換します。2台必要だったロボットを1台に集約されるためスペースや経費を削減することができるでしょう。 Mujinの3Dビジョンシステムは外乱光など環境変化に強く耐環境性も高く超軽量なシステムです。
※参照元:MUJIN公式HP/株式会社ファンケル様
( https://www.mujin.co.jp/example/)
まとめ
運送業界では、ドライバー不足や長時間労働、荷積み作業の負担といった課題が深刻化しています。こうした課題に対して「パレタイザー」の導入は現場の負担を減らし、作業効率を高める有効な手段のひとつです。
積み付け作業を自動化することで、ドライバーの拘束時間を短縮し、作業負担を軽減できるだけでなく、作業品質やスピードを安定させることも可能。結果として、現場の安全性向上や配送全体の効率化にもつながります。
当サイトでは、パレタイザーの選定に役立つ情報をまとめています。労働力不足の改善に貢献する「おすすめのパレタイザー3選」も紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
生産性を向上させたい場所から選ぶ!
おすすめパレタイザー3選
生産現場や物流センターで自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、導入において、どの工程でどの程度の生産性向上が期待できるかを具体的に確認することが重要です。そこで、生産性向上の観点でおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。
機器1つで最大5人分の労働力(※)
荷積みの生産性を安定させる
パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50
(メーカー:YUSHIN(旧:ユーシン精機))

(https://www.yushin.com/ja/products/detail/pa.html)
特徴
- 最大1時間500個の運搬力。四方向すべてにパレット搬送路が設置が可能で、生産効率の良い配置を実現。
- 誰にでも操作しやすい機能性の高いコントローラ。位置補正機能もあり、ワンタッチでパターン変更も可能
少種・大量生産のライン
コンベア全体の生産性向上
フジエース
袋用
(メーカー:不二技研工業)

(https://fujigiken.racms.jp/paretaiza/)
特徴
- 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー。
- 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)
過酷な環境でも耐えうる
防塵・防滴の安定した稼働
MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節
(メーカー:安川電機)

(https://www.e-mechatronics.com/product/robot/palletizing/lineup/hc30pl/spec.html)
特徴
- 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
- 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。