人手不足の原因と対処法
物流業界では人手不足による問題が深刻化しており、「人を雇っても仕事がキツくてすぐに辞めてしまう…」「人手不足のせいで人為的なミスや事故が増えている…」などの悩みを抱えている現場も多いはず。ここでは、物流業界の人手不足の原因と、その対処法について詳しく解説します。
物流業界の人手不足の現状
通販市場の成長に伴って、物流業界が取り扱う宅配便の量も年々増加傾向にあります。国土交通省が公表している「令和5年度 宅配便・メール便取扱実績について」によると、令和5年度の宅配便取扱個数は50億733万個で、前年度から145万個(約0.3%)増加。宅配便取扱個数が大きく増加したのはコロナ禍の影響を強く受けた2020年度からで、右肩上がりに増え続けています。
宅配便の物量が増加している一方で、トラックドライバーの数は不足しており、さらにドライバーの高齢化によって人手不足がますます深刻化することが懸念されています。それでいて2024年4月に働き方改革関連法が適用され、トラックドライバーの時間外労働時間が短縮。限られた労働時間内で膨大な荷物をいかに効率よく運送するかが求められており、人材の確保が急務となっています。
※参照元:国土交通省「令和5年度 宅配便・メール便取扱実績について」(https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000310.html)
物流業界の人手不足の原因
ドライバーの高齢化
物流業界を支えているドライバーの多くは40代以上の中高年層です。ドライバーの高齢化が進んでいる一方で、少子化によって若手の人材確保は今後さらに難しくなると予測されています。このままでは中高年層が労働者の多数を占めている物流業界の人手不足は、ますます深刻化していくでしょう。
給与が低い
長距離の運転や重い荷物の運搬・積み込みなど肉体的な負担が大きい一方で、平均給与が低い傾向にあります。仕事量に見合った給与が得られないことで、働き盛りの世代の離職につながり、物流業界の人手不足を加速させる要因となっています。
時間外労働時間の短縮
トラックドライバーの改善基準告示が2024年4月から適用されたことで時間外労働時間が短縮し、限られた労働時間内でいかに効率よく運送するかが求められるようになりました。これまでドライバー1人で行っていた長距離運送もドライバー2人体制で対応する必要性が出てきたため、人材の確保が急務となり、人手不足の深刻化を招く要因となっています。
業界へのネガティブなイメージ
物流業界は「長時間労働や夜間労働があって休みが取りにくい」「肉体労働でキツそう」などのネガティブなイメージを持たれやすい傾向にあります。さらに、男性社会で女性は働きにくいというイメージもあり、応募が限られてしまうのも人材の確保を難しくしている原因の1つです。
物流業界の人手不足を解決するには
人手不足を解決するために、どのような取り組みが必要かを紹介します。
ロボットを活用して自動化・省人化を図る
物流業界は属人化している業務が多いため、業務効率化を図るにはロボットの活用をおすすめします。ロボットを活用することで、負荷の大きい重量物の搬送やピッキング・仕分けなどの単純作業を自動化でき、限られた人員でも多くの荷物に対応することが可能に。従業員の業務負担を軽減できるほか、属人化の解消にもつながるメリットがあります。
人が担う作業のなかでも特に負荷が高いのがパレタイジング(荷積み)です。パレタイジングをもっとスムーズに進めたいのであれば、パレタイザーの導入を検討しましょう。パレタイザーは荷物をパレットに自動で積み付ける機械で、物流倉庫や製造工場などで活用されています。
パレタイザーの導入によってパレタイジングを自動化すれば、作業者の負担を大幅に軽減できるだけでなく、作業効率の向上によって、生産性を高めることも可能です。また、一定の精度で荷物を積み上げられるため、輸送中の安定性も向上します。
物流システムを導入する
物流システムは物流業務を一元管理できるシステムで、業務の効率化や標準化につながる機能が搭載されています。物流システムの導入によって管理の手間を軽減できるほか、正確性の向上によって品質向上や人的コストの削減効果も期待することが可能。たとえば在庫管理をシステムで行うことで、在庫の数や品質をリアルタイムで確認でき、適切な数量の仕入れによって廃棄ロスのリスクを最低限に抑えられます。
労働環境を見直す
人を雇ってもすぐに辞めてしまう、求人を出してもなかなか応募がこない場合は、労働環境を見直すことも重要です。特に物流業界はネガティブなイメージを持たれやすいため、フレックス制や時短勤務などを導入して自分に合った働き方ができることをアピールしたり、基本給のアップや休日の増加などを検討したりすると良いでしょう。
女性やシニア世代、外国人労働者を雇用する
人手不足を解決するには、採用対象の幅を広げるのも有効な施策の1つです。物流業界は力作業が多いことから男性をメインに採用していましたが、業務内容を細分化すれば体力の少ない女性やシニア世代でも活躍することが可能です。また、少子高齢化で労働人口の母数が減少しているため、外国人労働者の採用も視野に入れるべきでしょう。
モーダルシフトを導入する
モーダルシフトは、これまでトラックなどの自動車で行っていた貨物輸送を鉄道や船舶に切り替える手法です。輸送方法を鉄道や船舶に転換することで、一度に大量の荷物を輸送することが可能。労働人口の減少によってドライバー不足が問題となっている物流業界において、輸送に必要な人員を抑えられるモーダルシフトが注目されています。
共同配送を行う
共同配送は、複数の荷主企業が協力して配送を行う輸送手段です。それぞれの荷主企業で手配していたトラックをエリア・納品先ごとにまとめられるため、トラック1台あたりの積載率を上げられ、効率よく荷物を運ぶことができます。出荷や荷受け対応の頻度も減るため、現場スタッフの負担軽減にもつながるでしょう。共同配送を行うには企業間の協力やシステム共有が求められますが、実現すればドライバー不足の解消やコスト削減につなげられます。
まとめ
人手不足が原因で倒産する企業も増えている今、物流業界では早急な対策が求められています。
対策としては労働環境の見直しによる物流業界へのネガティブなイメージの払拭をはじめ、ロボットやシステムの導入、モーダルシフトや共同配送の実行などを検討しましょう。特にパレタイザーをはじめとするロボットは、省人化を大きく進めるソリューションとして注目されています。
生産性を向上させたい場所から選ぶ!
おすすめパレタイザー3選
生産現場や物流センターで自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、導入において、どの工程でどの程度の生産性向上が期待できるかを具体的に確認することが重要です。そこで、生産性向上の観点でおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。
機器1つで最大5人分の労働力(※)
荷積みの生産性を安定させる
パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50
(メーカー:YUSHIN(旧:ユーシン精機))

(https://www.ype.co.jp/product/detail/pa.html)
特徴
- 最大1時間500個の運搬力。四方向すべてにパレット搬送路が設置が可能で、生産効率の良い配置を実現。
- 誰にでも操作しやすい機能性の高いコントローラ。位置補正機能もあり、ワンタッチでパターン変更も可能
少種・大量生産のライン
コンベア全体の生産性向上
フジエース
袋用
(メーカー:不二技研工業)

(https://fujigiken.racms.jp/paretaiza/)
特徴
- 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー。
- 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)
過酷な環境でも耐えうる
防塵・防滴の安定した稼働
MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節
(メーカー:安川電機)

(https://www.e-mechatronics.com/product/robot/palletizing/lineup/hc30pl/spec.html)
特徴
- 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
- 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。