物流倉庫で扱うパレタイザーの選び方

物流業界では、慢性的な人手不足や作業者の高齢化が進むなか、倉庫作業の自動化が急速に広がっています。特に「荷積み」や「出荷準備」といった工程は、人の力では時間と労力がかかるため、パレタイザーの導入を検討する企業が増えています。
とはいえ、パレタイザーにも種類が多く、自社の倉庫にどれを導入すべきか悩む担当者は少なくありません。この記事では、自社倉庫に最適なパレタイザーを選ぶためのポイントや、導入による具体的なメリットを紹介します。
- ● 物流倉庫でパレタイザーを選ぶときは「機能」「設置環境」「運用イメージ」の3つを押さえることが大切
- ● 長く安心して使うためには現在も開発・改良を続けているメーカーを選ぶのがおすすめ
- ● パレタイザーの導入によって作業負担の軽減や人手不足の解消が期待できる
自社倉庫に合った
パレタイザーを選ぶためのポイント
自社倉庫にパレタイザーを導入する際に押さえておきたいのが、「機能」「設置環境」「運用イメージ」の3つです。どれかひとつでも欠けてしまうと、せっかくの導入効果を十分に発揮できません。ここからは、それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
機能を最優先に考える
最も重視すべきは、自社の倉庫にとって必要な機能が備わっているかどうかです。
たとえば多品種少量の製品を扱う現場であれば、異なるサイズや形状の箱を混載できるパレタイザーが求められるでしょう。積み下ろし作業が負担になっている場合は、デパレタイズ(積み下ろし)にも対応したタイプを選べば、積み込みだけでなく荷下ろしまで自動化でき、より広い工程をカバーできます。
一方で、高性能な多関節ロボットタイプを導入しても、現場によってはオーバースペックになってしまい、初期費用が無駄になることもあります。
大切なのは、「何を解決したいのか」を明確にし、それに合った機能性を優先すること。現場で扱う製品の形状・重量・積載パターンなどを整理したうえで、求める生産性や稼働スピードに見合ったモデルを検討すれば、導入後の満足度が高まります。
設置環境を確認する
パレタイザーを選定する際は、設置環境の確認も欠かせません。倉庫の広さや天井の高さ、通路幅といった条件によって、導入できるタイプや動作範囲が大きく変わってくるためです。
たとえば大型の物流センターのように広い倉庫では、荷物を運ぶ距離が長くなる傾向があります。そのような場合は、パレタイザー単体ではなく搬送ロボットとの連携を視野に入れることで、全体の作業効率を高められます。
一方、スペースが限られた倉庫では、設置場所の確保そのものが課題となります。たとえば多関節ロボットタイプのパレタイザーは、一見コンパクトで省スペースな印象を受けますが、旋回動作による可動域が広く、意外と設置スペースが取られる点には注意が必要です。倉庫レイアウトとパレタイザーの動作範囲が合っていないと、作業スペースが圧迫され、かえって効率を下げてしまうことも。
また、倉庫の温度や湿度、粉塵の有無といった環境条件も、ロボットの稼働安定性に関わる重要なポイントです。たとえば冷凍・冷蔵倉庫のように温度差が激しい環境では、耐寒仕様モデルなど現場に適したタイプを選びましょう。
導入後の運用を具体的にイメージする
パレタイザーを選定する際は、導入後の運用イメージを明確にしておくことが重要です。どの工程で稼働させるのか、1日あたりの処理量や稼働時間、他の設備との連携方法などを具体的に想定しておくと、導入後のギャップを防げます。
イメージが湧かない場合は、自社倉庫と似た環境で導入されている事例を参考にしたり、実際に稼働している動画を確認したりするのがおすすめです。また、メーカーによっては導入前に現場調査やシミュレーションを行い、最適なモデルやシステム構成を提案してくれる場合もあります。
現場の課題を共有したうえで専門家の意見を取り入れれば、導入後のトラブルや調整コストを最小限に抑え、安定した稼働につなげることができるでしょう。
パレタイザーを導入することで、人手不足の解消や作業環境の改善、生産性の向上が期待できます。ただし、効果を最大限に引き出すには、自社の倉庫環境や取り扱う製品に合ったパレタイザーを選ぶことが何より重要です。
当サイトでは、設置スペースや積載物の種類、1個あたりの重さ(可搬質量)など基本的な条件を入力するだけで、自社に適したパレタイザーを見つけられる簡易診断ツールをご用意しています。「どのタイプが自社に合うかわからない」「複数メーカーを比較してみたい」という方は、ぜひチェックしてみてください。
選んではいけないメーカーはある?
パレタイザーを選定するときは、信頼できるメーカーかどうかも重要な要素です。
ロボット業界は技術革新のスピードが速く、開発体制を維持できずに事業から撤退してしまうメーカーも少なくありません。過去に製造した製品の販売だけを続けている企業では、補修部品の入手が難しくなるリスクがあります。主要部品の在庫が切れてしまえば、修理やメンテナンスが困難になり、減価償却を終える前に入れ替えを迫られるといった事態も起こり得ます。
そのため、パレタイザーを選定する際には、現在も継続的に開発・改良を行っているメーカーかどうかを確認しておきましょう。
また、導入後にトラブルが起きた際、迅速に対応できるサポート体制が整っているかどうかも重要です。365日相談できる窓口があるか、万が一の際に即日対応が可能かなど、運用フェーズまでしっかり支援してくれるメーカーを選ぶことで、長期的な安定稼働につながります。
パレタイザーを導入するメリット
物流倉庫にパレタイザーを導入することで、作業効率の改善や人手不足の解消などさまざまなメリットが得られます。ここでは導入によって期待できる主な効果を紹介します。
倉庫作業の自動化で効率アップ
パレタイザーは、パレットへの荷積み作業を自動で行うロボットです。一度設定を行えば、ケースや段ボールを決められたパターンで正確に積み付けられるため、手作業に比べて圧倒的にスピーディーかつ安定した作業が可能。積み方のパターンを簡単に変更できるため、製品サイズの異なるラインにも柔軟に対応できます。
さらに、作業者の負担が大きい重量物の取り扱いをロボットに任せることで、安全性の向上や作業者の疲労軽減に貢献。結果として、倉庫全体の処理能力を高めることができます。
人件費の削減と人員の最適配置
パレタイザーの導入には初期費用がかかりますが、長期的に見れば人件費の削減につながります。これまで人手に頼っていた積み付けや仕分け作業を自動化することで、作業人数を最適化でき、人件費を削減可能。
さらに、単純作業に従事していたスタッフを他の重要業務に配置できるようになるため、組織全体の生産性を底上げできます。また作業内容の標準化が進むことで、熟練度に左右されない安定した品質を維持できる点も大きなメリットです。
作業ミスや事故の防止につながる
パレタイザーは、設定された条件のもとで正確に積み付け作業を行うため、人為的なミスを大幅に減らすことができます。
積み方の誤りやバランスの崩れといったトラブルを防ぎ、事故や製品破損のリスクを低減。また作業員が重量物を扱う機会が減ることで、腰痛や転倒といった労災リスクの軽減にもつながります。
このように、安全で安定した作業環境を実現できることはパレタイザー導入の大きな魅力のひとつです。
変化する物流ニーズに柔軟に対応できる
物流の現場では、取り扱う製品の種類や出荷量が季節や取引先によって変化します。
パレタイザーなら、設定条件を変更するだけで作業内容を切り替えられるため、こうした変化にも柔軟に対応可能。たとえば季節商品やキャンペーン品のように短期間で仕様が変わるときも、積み付けパターンを再設定するだけでスムーズに切り替えられます。
こうした柔軟性は、変化の激しい物流業界において競争力を維持するうえで大きな強みとなるでしょう。
物流倉庫におけるパレタイザー導入事例
Kyoto Robotics
筆記具の開発・製造をメインに行っている物流工場に、入出庫作業を自動化するパレタイザーシステムを導入した事例です。
ロボットシステムの導入は人手主流の物流を自動化して、今後訪れるであろう働き手不足の時代を乗り切るためとのこと。Kyoto Roboticsが提案したフレキシブル パレ/デパレロボットシステムは、1台で入庫作業と出庫作業の両方を自動化しました。
パレットからの積み下ろし、保管棚への収納までスムーズに対応します。導入後は入出庫業務にかかっていた人員を半減できる見込みとなり、導入メーカーも喜んでいます。また、フレキシブル パレ/デパレロボットシステムには上面が完封されていない通函を把持できるハンドが取り付けてあるので、さまざまな大きさの通函を自動で判断して取り扱ってくれるため、かなりのメリットを感じているとのことです。
※参照元:Kyoto Robotics公式サイト
https://www.kyotorobotics.co.jp/case/パイロットインキ様
Mujin
日用品卸売業を展開する会社では重労働から人を解放することを目標に、Mujinのパレタイズロボットを8台導入しました。パレタイズロボットにはMujin独自の積み付け計算機能と1台で3種の什器(パレット・カゴ車・カートトラック)の積み付けが可能な知能ロボットが搭載されています。目標としていた積み付け作業の無人化を実現しています。
積み付け作業の完全自動化によって、従来の2倍も生産性をアップした事例です。
※参照元:Mujin公式サイト
https://www.mujin.co.jp/videos/multipurpose-palletizing-robot-at-customer-site/
KUKA
アロマハーブを取り扱っているフランスの会社では、ハーブの色や味などを損なわないように、極寒の冷凍倉庫での作業が行われていました。従業員を過酷な労働環境から解放するために、パレタイジングの自動化を決断。KUKAのロボットを導入した理由は、保護カバーや機構部用ヒーターなしでマイナス30℃までの環境に適応できるためです。2台のロボットを導入したことにより、従業員の労働条件が改善され、製造するパレットの品質向上およびコールドチェーン(低温物流体系)が維持されるようになりました。
※参照元:KUKA公式サイト/Darégal 社で稼働する KR QUANTEC PA Arctic
https://www.kuka.com/ja-jp/業種/ソリューションデータベース/2021/12/darégal-社
DAIFUKU
免震構造の自動倉庫を導入した事例です。
ジェネリックや受託製造医薬品を手掛けている製薬会社では、「災害に強い」「環境配慮」「コンピュータ化」「フルコンテインメント(完全封じ込め)システム」の4つのコンセプトを掲げた新工場を構築。工場内には、日清製薬で初となる免震構造のパレット自動倉庫が導入されました。
免震構造の自動倉庫は、震度6強相当の揺れが1/4程度に軽減されます。いざというときのシステムが構築されたことで、安定供給の体制のレベルが引き上げられました。
※参照元:DAIFUKU公式サイト/日新製薬株式会社 様
https://www.daifuku.com/jp/solution/casestudy/case001/
まとめ
パレタイザーの導入は、物流倉庫の自動化を進めるうえで非常に有効な手段です。人手不足の解消や作業負担の軽減はもちろん、効率的で安全な作業環境の構築にも大きく貢献します。
ただし、導入効果を最大限に発揮するためには、自社の倉庫環境や作業内容に合った機種を選ぶことが重要です。倉庫の広さ・レイアウト、扱う製品の形状や重量、そして将来的な運用の見通しまでを含めて検討することで、パレタイザーの効果を長期的かつ安定的に実感できます。
当サイトでは、パレタイザーの選定に役立つ情報をまとめています。労働力不足の改善に貢献する「おすすめのパレタイザー3選」も紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
生産性を向上させたい場所から選ぶ!
おすすめパレタイザー3選
生産現場や物流センターで自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、導入において、どの工程でどの程度の生産性向上が期待できるかを具体的に確認することが重要です。そこで、生産性向上の観点でおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。
機器1つで最大5人分の労働力(※)
荷積みの生産性を安定させる
パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50
(メーカー:YUSHIN(旧:ユーシン精機))
(https://www.yushin.com/ja/products/detail/pa.html)
特徴
- 最大1時間500個の運搬力。四方向すべてにパレット搬送路が設置が可能で、生産効率の良い配置を実現。
- 誰にでも操作しやすい機能性の高いコントローラ。位置補正機能もあり、ワンタッチでパターン変更も可能
少種・大量生産のライン
コンベア全体の生産性向上
フジエース
袋用
(メーカー:不二技研工業)
(https://fujigiken.racms.jp/paretaiza/)
特徴
- 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー。
- 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)
過酷な環境でも耐えうる
防塵・防滴の安定した稼働
MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節
(メーカー:安川電機)
(https://www.e-mechatronics.com/product/robot/palletizing/lineup/hc30pl/spec.html)
特徴
- 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
- 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。