物流倉庫で扱うパレタイザーの選び方

自社の物流倉庫にパレタイザーを検討しているものの、どのロボットが自社に合っているか分からないという担当者もいることでしょう。ここでは、パレタイザー選びの参考として、ロボットを選ぶポイントや選んではいけないメーカーの特徴を解説します。

自社倉庫に導入すべきロボットを選ぶポイント

自社倉庫に導入するロボットを選ぶうえで押さえておきたいのが、「機能性」「倉庫内の環境・配置」「運用イメージ」です。それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

形状よりも機能を優先

自社倉庫にパレタイザーを導入する目的としては、生産性やトレーサビリティの向上などがあげられます。人が運ぶのが難しい重量の製品や危険な物品を扱えるのも、パレタイザーならではのメリットです。ただしパレタイザーのメリットを得るには、自社が求める機能性が備わっているかどうかが重要になります。

たとえば省スペースを優先した場合、設置場所はクリアしても、生産性やトレーサビリティの問題は改善されません。自社が抱える課題を解決するためにパレタイザーを導入するのであれば、現場が必要としている機能を把握し、それに見合ったスペックを持つパレタイザーを検討しましょう。

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倉庫内の環境や配置を観察する

自社倉庫に導入するロボットを検討する際、設置する倉庫内の環境も重要なポイントになります。巨大な物流センターと倉庫内の限られたスペースでは適したロボットが異なるため、ロボットを設置する環境についても観察・把握しておきましょう。たとえば広い倉庫だと荷物を運ぶのに時間を取られてほかの作業に支障をきたしかねないため、資材を搬送するロボットを導入することで作業効率の改善が図れます。

また、倉庫内の配置も観察して、積み上げ・積み下ろしができる高さを確保できるか、設置可能なパレタイザーのサイズはどのくらいかを確認し、選定時の参考にしましょう。倉庫内の配置に合っていないパレタイザーですと作業スペースを確保できず、作業効率の低下を招くリスクがあります。

自社倉庫での運用イメージをもつ

どのように稼働させるのか導入後の運用をイメージすることも、自社倉庫に合ったロボットを選定するのに大切です。自社倉庫と良く似た環境の倉庫における導入事例や実際に稼働している動画があれば、ロボットが現場に適応できるのかどうかの確認に役立ちます。

ただ、パレタイザーを初めて導入する場合、運用をイメージするのが難しいという企業も多いでしょう。そういった企業は、自社現場に、より適したロボットやシステムを提案してくれるメーカーに相談し、プロの目線からアドバイスをもらうのがおすすめです。

選んではいけないメーカーはある?

ロボットの開発事業から撤退している企業は避けたほうが良いでしょう。過去に開発した製品の販売だけを行っている企業の場合、補修部品の在庫が切れてしまうとメンテナンスが難しくなってしまい、償却前にロボットを買い替えるということになりかねません。

そのため、ロボットを選定する際は、現在でもロボットの開発に取り組んでいる企業かどうかも合わせて確認しておくと良いでしょう。

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物流倉庫へパレタイザーを導入するメリット

倉庫内作業の効率化・自動化が可能

パレタイザーはパレット上へケース等を積む作業を効率的に進めたり、あらかじめ設定しておいたパターンにもとづいて自動化したりすることが可能です。そのため、倉庫内の梱包作業や搬出までの流れをスムーズに進められ、省力化や省人化といったニーズを実現できます。

またパターンの変更や条件の再設定で、色々な作業やワークへ応用させることも可能であり、業務の幅を広げられることも強みです。加えてパターン設定はコンピュータで行えるため、実作業に関与できない人でも担当することができます。

コスト削減

パレタイザーの導入にはイニシャルコストがかかるため、短期的に見れば費用は増大することになります。しかし、パレタイザーの導入によって作業に必要な人員の数を減らせれば、結果的に人件費のコストを削減できるため、長期的に見ればコストパフォーマンスの改善が可能です。

またパレタイザーで効率化した人員について適材適所の人材マネジメントを行い、他の業務体制を強化できるといった点も見逃せません。

ワークフローの最適化

パレタイザーによって必要な業務の流れをオートメーション化したり、配置すべきワークの設定条件をパレタイザーに組み込んで作業内容を指定したりすることで、ワークの間違いや積み方の不具合によるエラーや事故のリスクを軽減できることも重要です。

パレタイザーの導入によってワークフローを最適化することにより、作業時間を圧縮して作業員の業務負担を軽減できるうえ、ヒューマンエラーの危険性を回避できるといった多角的なメリットがあります。

物流ニーズの変化への対応

作業前にパレタイザーで取り扱うワークの種類変更、設定条件の変更を行うことで作業内容を任意に調整できます。例えば取り扱いワークの種類が変わったり作業の流れが変わったりした際にもスムーズに対応することが可能です。

物流ニーズの変化や時代のトレンドに合わせて業務フローの再パターン化を容易にするのは、事業所としての作業効率を向上させ、自社の生産性の底上げにもつながるというメリットがあります。

物流倉庫におけるパレタイザー導入事例

Kyoto Robotics

筆記具の開発・製造をメインに行っている物流工場に、入出庫作業を自動化するパレタイザーシステムを導入した事例です。

ロボットシステムの導入は人手主流の物流を自動化して、今後訪れるであろう働き手不足の時代を乗り切るためとのこと。Kyoto Roboticsが提案したフレキシブル パレ/デパレロボットシステムは、1台で入庫作業と出庫作業の両方を自動化しました。

パレットからの積み下ろし、保管棚への収納までスムーズに対応します。導入後は入出庫業務にかかっていた人員を半減できる見込みとなり、導入メーカーも喜んでいます。また、フレキシブル パレ/デパレロボットシステムには上面が完封されていない通函を把持できるハンドが取り付けてあるので、さまざまな大きさの通函を自動で判断して取り扱ってくれるため、かなりのメリットを感じているとのことです。

※参照元:Kyoto Robotics公式サイト
https://www.kyotorobotics.co.jp/case/パイロットインキ様

Mujin

日用品卸売業を展開する会社では重労働から人を解放することを目標に、Mujinのパレタイズロボットを8台導入しました。パレタイズロボットにはMujin独自の積み付け計算機能と1台で3種の什器(パレット・カゴ車・カートトラック)の積み付けが可能な知能ロボットが搭載されています。目標としていた積み付け作業の無人化を実現しています。

積み付け作業の完全自動化によって、従来の2倍も生産性をアップした事例です。

※参照元:Mujin公式サイト
https://www.mujin.co.jp/videos/multipurpose-palletizing-robot-at-customer-site/

KUKA

アロマハーブを取り扱っているフランスの会社では、ハーブの色や味などを損なわないように、極寒の冷凍倉庫での作業が行われていました。従業員を過酷な労働環境から解放するために、パレタイジングの自動化を決断。KUKAのロボットを導入した理由は、保護カバーや機構部用ヒーターなしでマイナス30℃までの環境に適応できるためです。2台のロボットを導入したことにより、従業員の労働条件が改善され、製造するパレットの品質向上およびコールドチェーン(低温物流体系)が維持されるようになりました。

※参照元:KUKA公式サイト/Darégal 社で稼働する KR QUANTEC PA Arctic
https://www.kuka.com/ja-jp/業種/ソリューションデータベース/2021/12/darégal-社

DAIFUKU

免震構造の自動倉庫を導入した事例です。

ジェネリックや受託製造医薬品を手掛けている製薬会社では、「災害に強い」「環境配慮」「コンピュータ化」「フルコンテインメント(完全封じ込め)システム」の4つのコンセプトを掲げた新工場を構築。工場内には、日清製薬で初となる免震構造のパレット自動倉庫が導入されました。

免震構造の自動倉庫は、震度6強相当の揺れが1/4程度に軽減されます。いざというときのシステムが構築されたことで、安定供給の体制のレベルが引き上げられました。

※参照元:DAIFUKU公式サイト/日新製薬株式会社 様
https://www.daifuku.com/jp/solution/casestudy/case001/

生産性を向上させたい場所から選ぶ!
おすすめパレタイザー3選

生産現場や物流センターで自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、導入において、どの工程でどの程度の生産性向上が期待できるかを具体的に確認することが重要です。そこで、生産性向上の観点でおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。

機器1つで最大5人分の労働力(※)
荷積みの生産性を安定させる

パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50

(メーカー:ユーシン精機)

ユーシン精機
引用元HP:ユーシン精機公式サイト
(https://www.ype.co.jp/product/detail/pa.html)

特徴

  • 最大1時間500個の運搬力。四方向すべてにパレット搬送路が設置が可能で、生産効率の良い配置を実現。
  • 誰にでも操作しやすい機能性の高いコントローラ。位置補正機能もあり、ワンタッチでパターン変更も可能
※...人によるパレタイズの生産性を1時間に約100〜150個と仮定として算出。

少種・大量生産のライン
コンベア全体の生産性向上

フジエース
袋用

(メーカー:不二技研工業)

不二技研工業
引用元:不二技研工業
(https://fujigiken.racms.jp/paretaiza/)

特徴

  • 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー
  • 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)

過酷な環境でも耐えうる
防塵・防滴の安定した稼働

MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節

(メーカー:安川電機)

安川電機
引用元:安川電機
(https://www.e-mechatronics.com/product/robot/palletizing/lineup/hc30pl/spec.html)

特徴

  • 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
  • 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。

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