物流業界で使用される「カゴ台車」とは

複数の荷物をまとめて運びたいときに役立つのが、カゴ台車です。ロールボックスパレットやカゴ車、カーゴテナーなどとも呼ばれ、物流業界の幅広いシーンで活用されています。ここでは、カゴ台車の特徴や種類、使用するメリット・注意点、選び方などを詳しく解説します。

カゴ台車とは

カゴ台車は、格子状の柵で囲われた車輪付きの台車です。使われている素材や形状はさまざまですが、スチール製の柵で3面が囲われているものが広く使用されています。

格子状の柵で囲われているので、荷物を高く積み重ねても荷崩れしにくいのが特徴です。車輪付きでスムーズに移動できるため、一度に多くの荷物を運べます。運送業や小売業でよく使用されており、店舗内での運搬や品出し、商品の移動やトラックへの積み込み、商品棚の代用など、さまざまなシーンでカゴ台車が活躍しています。

カゴ台車の種類

カゴ台車の種類は、「標準タイプ」と「観音扉タイプ」の2つに大きく分けられます。それぞれの種類の特徴について見ていきましょう。

標準タイプ

側面の3面が格子状の柵で囲われたカゴ台車で、荷物を出し入れする開口部分に荷物の落下を防ぐサイドバーが付いているのが特徴です。サイドバーは簡単に開閉できるため、荷物を取り出しやすく、積み下ろしの時間を短縮することが可能。ただし、搬送経路に段差や坂などがある場合、開口部分から荷物が崩れてしまう恐れがあります。

観音扉タイプ

開口部分に観音開きの扉が付いているカゴ台車です。扉を閉めれば側面全面を柵で囲うことができるため、荷崩れのリスクを最小限に抑えられ、より安定した状態で運搬することが可能。扉にはロック機能が備わっており、段差の多い現場でも安全に使用できます。扉は左右に開くようになっているため、大きな荷物の出し入れも問題なく行えます。

カゴ台車を使用するメリット

大量の荷物を一度に運搬できる

一般的な平パレットと違って柵で囲われた構造をしているため、荷物を積み重ねても荷崩れしにくいのが特徴です。カゴ台車の一般的な耐荷重は約500kgで、大量の荷物を安全かつ効率的に運搬することが可能。車輪付きなので軽い力で楽に運搬でき、重量によっては女性や力の弱い人でも動かせます。運搬作業の大幅な負担軽減につながるのが、カゴ台車を使用する大きなメリットです。

広い保管場所を必要としない

カゴ台車は底板を上げることで側面を簡単に折りたたむことができ、コンパクトに保管できます。たたむことのできない平パレットなどはパレットと同じ大きさの保管スペースを確保する必要がありますが、カゴ台車なら限られたスペースを活用して保管することが可能。特にI字型に折りたためるものなら、よりコンパクトに収納できます。

使用していないときに倉庫のスペースを圧迫しないほか、トラックでの輸送時には多くのカゴ台車を積み込めるため、輸送効率の向上を実現できるメリットもあり。また、輸送効率の向上によって、輸送コストの削減も期待できます。

カゴ台車を使用する際の注意点

車輪の動線に足が入らないようにする

カゴ台車を移動させる際は、車輪で足をひいてしまわないように注意が必要です。何も載せていないパレットでも30~50kgほどの重量があり、荷物を載せた状態だと数百kgを超えることもあるため、足が下敷きになると大怪我につながる恐れがあります。車輪の動線に足を入れないよう注意し、特に段差や傾斜のある場所では、安全靴の着用を徹底しましょう。

荷物を高く積み過ぎない

側面が柵で囲われているカゴ台車は荷崩れしにくいのが特徴ですが、荷物を高く積み過ぎるとパレットが倒れるリスクが高まります。作業者がパレットの下敷きになる可能性があるほか、倒れた先で人や物とぶつかって大きな事故につながってしまうことも。また、段差や傾斜でバランスを崩したり、車輪に物が挟まって急ブレーキがかかったりすることで、パレットが倒れることもあります。

カゴ台車を使用する際は、荷物の積み過ぎや段差・傾斜のある場所に注意し、車輪に物が挟まらないよう作業場の清掃も徹底しましょう。

カゴ台車の選び方

サイズ

カゴ台車を選ぶにあたって重要なのは、荷物や現場に適したサイズ・耐荷重であるかどうかです。サイズの大きいカゴ台車は一度に大量の荷物を運搬できる一方で、現場によっては通路を通れなかったり、エレベーターに乗せることができなかったりする場合があります。使い勝手の悪さで運搬効率が低下しかねないため、使用する現場の通路幅や天井高、エレベーターのサイズを測定したうえで、適したサイズのカゴ車を選定するようにしましょう。

底板の材質

カゴ台車の底板の材質は、スチール製と樹脂製の2種類に大きく分けられます。

スチール製は耐久性と強度に優れており、重い荷物を積載しても破損のリスクが少ないことから、重量物の運搬や破損による異物混入を回避したいシーンなどに適しています。一方で、樹脂製に比べて自重があるので取り扱いにくく、サビやすいのが難点です。

樹脂製はスチール製に比べて軽量のため、運搬時の負担が少なく、作業効率がアップしやすいといったメリットがあります。また、水洗いや洗浄をしてもサビにくいので、清潔さを保てるのも樹脂製の特徴です。衛生面が重視される食品工場や医療現場などに適しているほか、湿気の多い場所や屋外での使用にも向いています。

一方で、スチール製に比べて耐久性が劣るため、重い荷物の積載時に天板が破損する恐れがあり、破片の混入リスクがある点に注意が必要です。

カゴ台車を導入しても残る課題とは?

カゴ台車を導入すれば一度に多くの荷物を楽に運搬できるようになりますが、荷物を積み付ける作業については人力に依存している現場が多く、身体的負担が大きいという課題は残ったままです。大量の荷物を積む作業は時間がかかるため、カゴ台車を導入するだけでは作業の効率化を実現したとは言えないでしょう。

また、長時間の肉体労働は離職につながりやすいので、人手不足が深刻化している物流業界においては、運搬だけでなく積み付け作業の効率化についても考える必要があります。

パレタイザーの導入でパレタイズを自動化

作業者の負担を軽減するのであれば、カゴ台車と合わせてパレタイザーを導入するのがおすすめです。パレタイザーは荷物を自動で積み付ける機械で、物流倉庫や製造工場で活用されています。

積み付け作業の自動化によって作業者の負担を大幅に軽減できるほか、短時間での積み付けによって全体の作業効率をアップさせることが可能。人力での作業と違って作業者の経験やスキルに依存しないため、一定の精度で荷物を積み付けられるメリットもあります。

スムーズな物流を実現するためにも、パレタイザーの導入も検討してみてはいかがでしょうか。

自社環境に適した
おすすめパレタイザーを見付ける!

生産性を向上させたい場所から選ぶ!
おすすめパレタイザー3選

生産現場や物流センターで自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、導入において、どの工程でどの程度の生産性向上が期待できるかを具体的に確認することが重要です。そこで、生産性向上の観点でおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。

機器1つで最大5人分の労働力(※)
荷積みの生産性を安定させる

パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50

(メーカー:YUSHIN(旧:ユーシン精機))

YUSHIN(旧:ユーシン精機)
引用元HP:YUSHIN(旧:ユーシン精機)公式サイト
(https://www.yushin.com/ja/products/detail/pa.html)

特徴

  • 最大1時間500個の運搬力。四方向すべてにパレット搬送路が設置が可能で、生産効率の良い配置を実現。
  • 誰にでも操作しやすい機能性の高いコントローラ。位置補正機能もあり、ワンタッチでパターン変更も可能
※...人によるパレタイズの生産性を1時間に約100〜150個と仮定として算出。

少種・大量生産のライン
コンベア全体の生産性向上

フジエース
袋用

(メーカー:不二技研工業)

不二技研工業
引用元:不二技研工業
(https://fujigiken.racms.jp/paretaiza/)

特徴

  • 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー
  • 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)

過酷な環境でも耐えうる
防塵・防滴の安定した稼働

MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節

(メーカー:安川電機)

安川電機
引用元:安川電機
(https://www.e-mechatronics.com/product/robot/palletizing/lineup/hc30pl/spec.html)

特徴

  • 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
  • 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。

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