導入コストと費用対効果

パレタイザー導入コストはいくらぐらい?

ネット販売サイトで大まかなコスト感を把握

パレタイザーは設置場所やハンドの取り付け方など様々な条件によって導入コストが変わるため、ほとんどのメーカーやベンダーでは価格を公表していません。ここでは目安として中国のネット販売サイト「Alibaba」(※)での販売価格(2021年9月30日現在)を紹介します。
国内企業から直接購入する場合とは諸条件が異なりますので、あくまでも目安程度に参照ください。

機種 ガントリー/直交型パレタイザー ロボットパレタイザー
(多関節ロボット)
機械装置型パレタイザー
機種A 1,717,253円(直交) 4,579,340円~9,158,680円 2,633,121円~2,862,088円
機種B 1,144,835円~4,579,340円(ガントリー) 1,144,835円~5,644,037円 4,579,340円~9,158,680円

ガントリー/直交型パレタイザーは、約110万~460万円程度、ロボットパレタイザーは、約110万~910万円の範囲、機械装置型パレタイザーは、約260万~910万円の価格帯とわかりました。

※参照元:「Alibaba」(「パレタイザー」を食品工場向けで絞った結果です)
(https://japanese.alibaba.com/products/robot_palletizer_price.html?IndexArea=product_en&refine_attr_value=224439040-190007548&pid=PID606_0008_6301¶m_order=ATTR-224439040-190007548)

本体価格以外にもコストがかかる

パレタイザー導入時には、パレタイジングロボット本体価格以外にもコストがかかります。

項目 説明 費用相場
関連装置 ロボット自体やその動作に直接関わる部品や機器。例として、架台、ハンド、取り付けアームなど。 約100万円~500万円
周辺機器 ロボットが安全かつ効率的に動作するために必要な補助装置。例として、安全柵、制御盤、センサーなど。 約50万円~300万円
システムインテグレーション費用 設計・組み立てや設置工事、ソフトウェアの開発・導入費用。 約200万円~1000万円以上

これらのコストは、導入する機器の規模や複雑さにより大きく変動します。

パレタイジングロボット導入費用と補助金活用のポイント

関連装置がどのくらい必要かによりますが、本体価格が約300万円のパレタイジングロボットでも、導入費用の総額が約1,000万円弱になるというケースもあります。特にシステムインテグレーション関連費は、本体価格を上回るほど高額になることもあるため注意が必要です。

中小企業庁が実施している「ものづくり補助金」など、ロボット導入の際に活用できる補助金制度によってコストを抑えられるケースもあります。詳しくはこちらをご覧ください。

ランニングコストはかかるがコスパは良い

パレタイザーの導入後も、消耗品費やメンテナンス費などのランニングコストがかかります。そのため「パレタイザー導入にはコストがかかりすぎるのでは」という懸念が残るかもしれません。

しかし、パレタイザーを導入することで、これまで作業員数名で行っていた作業を1台のロボットでこなせるようになり、人件費削減につなげられます。また、人の採用とは違い、ロボットには採用計画も必要ありません。安定した品質と業務を実現できるでしょう。

コスパが優れたパレタイザーの
メーカーを見る

導入の費用対効果を事例で紹介

パレタイザー導入の費用対効果はどのようなものなのでしょうか。また、どのくらいのコスト削減が期待でき、どの程度の導入コストであれば採算が取れるのでしょうか。ここでは経済産業省 一般社団法人日本ロボット工業会が発表している資料「ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018」から4例を紹介します。

株式会社 釜屋の事例~利益が480万円(2人分の人件費に相当)増加

平成7年創業、従業員45人の食品メーカーで、レトルト食品やパック詰め食品をOEM(相手先ブランドによる生産)供給しています。顧客からの引き合いが増え、封入・梱包・仕分け工程で作業員の負担が重くなってきたことから、最終工程のパレット積みで多関節ロボットを導入しました。

積み付け作業を担当していた女性スタッフ2人は検査・軽量の工程に移り、生産性が25%向上しました。段ボールの形状や積み方、パレットは顧客ごとに異なるため、様々な条件に柔軟に対応できるハンドを開発。また、保管スペースを確保するために、省スペース型回転型パレットチェンジャーも新たに開発しました。年あたりの効果として、利益が480万円(2人分の人件費に相当)増加。投資回収にかかる期間は5・2年を見込んでいます。

※参照元:経済産業省 一般社団法人日本ロボット工業会資料(PDF)『ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018』4P
https://robo-navi.com/webroot/document/2018RobotHandBook.pdf

堂本食品株式会社の事例~労働生産性が5倍に

自社ブランド製品のほかにPB食品も製造・販売している食品メーカーですが、顧客ニーズの多様化に伴い、製品アイテム数や生産量が増加。また、人手不足により工場スタッフも集まりにくくなっていることから、多関節ロボットを導入しました。自動化のためには重量検査装置、製品認識設備、パレタイズ設備を組み合わせた大規模なラインが必要でしたが、設置スペースが足りず困難な状況でした。そこで必要な工程全てをロボットに組み込みました。

このロボットは、フレキシブルハンドで多種多様な製品が扱えるだけでなく、ロードセルやカメラで製品識別も可能で、パレタイズの専属スタッフが不要になりました。導入前後で生産量は変わりませんが、パレタイズに要していた人数1人が0.2人に減り、労働生産性は5倍に。年あたりのコスト低減効果は350万円で、これは1人分の人件費350万円(賞与含む)に相当します。投資回収年は6.1年を見込んでいます。

※参照元:経済産業省 一般社団法人日本ロボット工業会資料(PDF)『ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018』16P
https://robo-navi.com/webroot/document/2018RobotHandBook.pdf

株式会社ナカガワフーズの事例~労働生産性が4.4倍にアップ

創業1968年の食品メーカーで、食肉の加工・製造・卸、惣菜の製造販売を手掛けています。大手商社や百貨店、スーパー、外食チェーンなどを顧客に持ち、細かい消費者ニーズに対応できることを強みとしていますが、人手不足を背景に多関節ロボットを導入。同社は、肉の解体・成型など上流工程の作業をセールスポイントとしているため自動化は難しく、下流工程の梱包やパレット積みでロボット化に着手しました。

製品数や箱詰め・パレット積みパターンの多さが課題でしたが、箱詰めに関してはロボットハンドと挿入方法に工夫を加え、パレット積みはシステムでの導入(パレットチェンジャー)により課題を克服。この結果、下流工程に従事していた6人の省人化を実現し、労働生産性は4.4倍にアップ。生産量も10%向上し、年間の利益が2268万円(6人の人件費に相当)増えました。投資回収年は1.4年を見込んでいます。

※参照元:経済産業省 一般社団法人日本ロボット工業会資料(PDF)『ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018』18P
https://robo-navi.com/webroot/document/2018RobotHandBook.pdf

株式会社タカゾノの事例~作業員が6人から4人に

医療用分包機のメーカーで、年々増加する生産量に対応するため、昼夜二交代制で作業を行ってきましたが、長時間労働が発生するなど労働環境が悪化。これを改善するため、多関節協働ロボットを導入しました。以前は複数の上流機からランダムに流れてくる重さ12kgの製品を手積みしていましたが、上・下流の搬送機とロボットを連動させるシステムを構築しました。

この結果、作業に要していた6人の作業員は4人に減り、労働生産性は1.5倍アップしました。また、年あたり2人分の人件費(1人450万円)を削減できたほか、作業員の肉体的負担も軽減され、導入以前にあったロボットへの不信感や安全への懸念も払しょくされて「人とロボットが共存できる職場」となっています。投資回収年は3.5年の見込みです。

※参照元:経済産業省 一般社団法人日本ロボット工業会資料(PDF)『ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018』26P
https://robo-navi.com/webroot/document/2018RobotHandBook.pdf

限られたスペースにも設置できる
おすすめの省スペース型
パレタイザー2選

パレタイザーを初めて導入する場合、障害となるのが設置スペースの問題。これまで手作業で荷積みをしていた現場では、パレタイザーを設置するのに十分な広さが確保できないケースも珍しくありません。

そこで注目したいのが、省スペース型のパレタイザー。パレタイザーの設置スペースを考える時には、機器のサイズだけでなく、アームなどの可動範囲を考慮する必要があります。ここでは、限られた範囲で動作するため比較的狭い場所にも設置しやすい「ガントリー型/直交型」のおすすめ機種2つを紹介いたします。

※2021年8月20日時点で「パレタイザー」でGoogle検索80位まで表示されたメーカーの製品や検索需要の多いメーカーの中から、公式サイトに製品のスペック・特徴などの詳細記載がある26社(82機種)、かつ、公式サイトや公式サイトから閲覧できる製品カタログの記載により可搬質量や積載物、サイズ等が判断できる機種を対象に調査を実施。省スペースでの導入に適した、ガントリー型/直交型のおすすめ2機種をニーズ別に選出しました。

手作業で行っていた荷積みを
自動化したい

パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50(ユーシン精機)

ユーシン精機
引用元HP:ユーシン精機公式サイト
(https://www.ype.co.jp/product/detail/pa.html)
  • 可動範囲が限られているため、人の多い現場でも安心
  • フリーレイアウトで既存の設備に追加しやすい
  • 異なるサイズの荷物を混載可能で融通が利く

人力では運べない重さの
荷物を運びたい

ロボットパレタイザー
Aシリーズ(オークラ輸送機)

オークラ輸送機
引用元HP:オークラ輸送機公式サイト
(https://www.okurayusoki.co.jp/product/pallet/robot_01/ai1800.html)
  • 垂直多関節タイプのロボット型
  • 大きな可搬質量で重いワークに対応

「自社にとってプラスになるか」が重要なポイント

パレタイザー導入では導入コストやランニングコストをしっかりと確認しましょう。コストは年単位で比較し、長期的に見て自社にとって導入がプラスになることが大切です。パレタイザーにはさまざまな製品がありますので、自社の条件や用途に合ったものを選びましょう。

荷積みしたい物品から選ぶ!
パレタイザー3選

生産現場や物流センターにおける自動化が進む中、ロボットパレタイザーの導入は効率化の鍵となります。しかし、パレタイザーの導入で気を付けたいのが、扱っている物品の種類や特性に大きく依存すること。

そこで、荷積みしたい物品ごとにおすすめのロボットパレタイザーを3つご紹介します。重い袋詰め製品から繊細な電子部品まで、業務を革新するソリューションを見つけるヒントにしてください。

飲料・食品・日用品など
箱詰め製品を扱う企業向け

パレタイジングロボット
PA-20/PA-40/PA-50

(メーカー:ユーシン精機)

ユーシン精機
引用元HP:ユーシン精機公式サイト
(https://www.ype.co.jp/product/detail/pa.html)

特徴

  • 製造ライン上で箱詰めされた製品をロボットハンドが追従し、パレットへ積み上げ
  • 最大1時間500個の運搬力。今ある製造ラインへの設置が可能で、パレットの運搬経路も複数確保できる。

食品原料・化学製品・建材製品など
袋詰め製品を扱う企業向け

フジエース
袋用

(メーカー:不二技研工業)

不二技研工業
引用元:不二技研工業
(https://fujigiken.racms.jp/paretaiza/)

特徴

  • 米国ベーカリー規格に準じ、大手製粉メーカーの基準を満たす袋用の機械式パレタイザー
  • 国内外で1600台の納入実績があり、400台が稼働中。(2021年9月公式HP確認時点)

半導体や医薬品など
塵や埃を考慮する企業向け

MOTOMAN-HC30PL
6軸垂直多関節

(メーカー:安川電機)

安川電機
引用元:安川電機
(https://www.e-mechatronics.com/product/robot/palletizing/lineup/hc30pl/spec.html)

特徴

  • 防じん・防滴仕様で、塵や埃、液体への対環境性を考慮した半導体や医薬品の製造現場におすすめ。
  • 6軸垂直多関節ロボットで作業範囲が広いため、どんな高さのパレットにも対応できるのが特徴。

【PR】省スペースに対応!
パレタイザーのレイアウト事例